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侍ジャパン

“ワールドクラス”の高めの豪速球を攻略できるのか。村上宗隆がWBCで直面する最大の課題<SLUGGER>

大南淳【DELTA】

2023.03.09

オリックス戦で待望の一発が出た村上。果たして、WBC本番で打棒爆発なるか。写真:滝川敏之

オリックス戦で待望の一発が出た村上。果たして、WBC本番で打棒爆発なるか。写真:滝川敏之

 3月8日、ついに第5回WBCが開幕する。侍ジャパンにとっては2009年以来の頂点を目指す大舞台。多くのファンが優勝を期待していることだろう。

【動画】逆方向への確信弾! 村上宗隆のオリックス戦のホームランをチェック
 一方で、WBCはメジャー挑戦を目指す選手たちにとっては、自身の実力を示す貴重な舞台でもある。昨季、三冠王に輝いた村上宗隆(ヤクルト)も、数年後と言われるMLB移籍へ向け、気合十分で臨むことだろう。今大会で、村上は世界レベルの投手たちを相手にどのような打撃を見せられるのか。カギとなる要素をデータから探っていく。

 村上の魅力は言うまでもなく長打力だ。昨季は日本登録選手では王貞治を上回る56本塁打を放った。実は、本塁打が生み出される過程に着目すると、村上の強みがよりはっきりと見えてくる。

 本塁打を打つには、まず打球に上向きの角度をつける必要がある。どれほどパワーのある打者でも、角度をつけられなければ打球はゴロや低いライナーにしかならず、フェンスを越えることはできない。打球に上向きの角度をつけることは、本塁打を放つための第一条件と言える。

 そして、次に求められるのが打球を遠くに飛ばすことだ。いくら上向きの角度をつけるのに長けていても、パワーがなければ外野フライが増えるだけ。打球をより遠くに運ぶスキルも、本塁打を打つためには欠かせない。
 さて、村上はフライを打つスキルと、遠くへ飛ばすスキルを、それぞれどれくらいのレベルで持ち合わせているのだろうか。

 実は、村上は打球に上向きの角度をつけることを特別得意としているわけではない。

「打球に上向きの角度をつける」スキルは、フライを打つスキルと言い換えられる。昨季の村上のフライ割合は50.4%。リーグ平均の43.9%を上回ってはいるが、NPBトップレベルではない。清宮幸太郎(日本ハム)やチームメイトの山田哲人は60%以上のフライ割合を記録している。

 となると、村上の強みは「打球をより遠くに運ぶスキル」にあることになる。このスキルを測る指標として、フライが本塁打になる確率を表すHR/FBを見てみよう(表1)。昨季、村上のHR/FBは30.9%。全フライ打球の3割以上が本塁打になっていた。これは、DELTAがデータを取得しはじめた2014年以降でNPB最高の値だ。

■表1 シーズンHR/FBランキング(2014~2022)            
1    村上 宗隆(2022)    30.9%
2    丸 佳浩(2018)    27.3%
3    柳田 悠岐(2018)    25.4%
4    N・ソト(2018)    25.3%
5    柳田 悠岐(2015)    23.8%
6    村上 宗隆(2019)    23.5%
※規定打席到達者を対象
 
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