プロ野球

【2023日本シリーズ展望】パワー&投手力ならオリックス、選球眼&機動力なら阪神が有利。カギはいかに「先制するか」にあり?<SLUGGER>

藤原彬

2023.10.27

エース山本(左)を中心にとにかく点を与えないオリックスか、1番・近本(右)を起点に点を取っていく阪神。頂上決戦はどちらに軍配が上がるか? 写真:THE DIGEST写真部

 ついに10月28日から今年の日本一を賭けた決戦が始まる。オリックスと阪神は、ともにシーズンでは2位に10ゲーム以上の大差をつけてゴールテープを切った。日本シリーズでは初の顔合わせとしても注目される両軍は、果たしてどのような戦いが繰り広げるだろうか。

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■経験か、それとも勢いか

 両チームの大きな違いが日本シリーズの出場経験だ。3年続けてリーグを制したオリックスに対し、阪神は2014年以来9年ぶりとなり、大舞台を経験したことがあるのは梅野隆太郎と大竹耕太郎のみだ。もちろん、クライマックスシリーズや国際試合などでも短期決戦や大舞台の経験は積むことができるし、阪神の場合は岡田彰布監督が05年に日本シリーズに出場した経験も心強いはず。ただ、過去2年のように接戦が続けば「経験の差」が勝敗を分ける場面も多くなるかもしれない。

■先制点をめぐる究極"ほこ×たて対決"

 今季は先制した試合でオリックスが64勝14敗2分(勝率.821)、阪神は62勝17敗3分(.785)と圧倒的な強さを誇った。逆に先制された試合では、それぞれ22勝39敗1分、23勝36敗1分と負け越している。この点、山本由伸を擁する先発陣の顔ぶれで優位と目されるオリックスに分がありそうだ。
 
 ただ、オリックスはシーズン中、先制するために重要な1番打者が定まらなかった。50試合以上務めた選手がおらず、出塁率.277は12球団ワースト2位。対照的に阪神の1番が記録した.371は頭抜けて高く、近本光司がほぼ固定されて着火剤の役割を果たした。
CSファイナルステージでは近本の停滞から攻撃に勢いが生まれず、その重要性が逆説的に裏付けられた。

 投手力で「先制させない」オリックスと、絶対的リードオフマンを起点に「先制して勝つ」阪神。究極の"ほこ×たて対決"は果たしてどちらに軍配が上がるか。

■オリックスはパワー、阪神は選球眼&機動力に強みあり

 打線全体では、オリックスのOPS.680に対して阪神が.674と総合的な打力に大差はない。ただ、その中身が違っている。オリックスはリーグ最多の109本塁打、長打率.369もトップとパワーに裏付けられた数字。一方の阪神は、494四球がリーグトップ、出塁率.308は2位と、選球眼を強みとしている。

 阪神はチーム全体の盗塁もリーグ最多の79個を成功させていて、盗塁以外のベースランニング能力を測る指標UBR13.0も12球団トップと、とにかく走りまくるのも特徴。一方、オリックスは-5.9と機動力はほとんど使えない。パワーのオリックスか、選球眼と機動力の阪神か。両軍の対照的なオフェンスがシリーズの趨勢をどのように左右するか。

文●藤原彬

著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。ツイッターIDは@Struggler_AKIRA。

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