2019年を振り返る時、日本シリーズ第1戦の攻防が頭から離れない。
巨人・山口俊、ソフトバンク・千賀滉大の両先発が見せたピッチングに現代野球の「勝つ投手」の特徴が如実に現れていたように思えたからだ。
二人のピッチングスタイルは、ストレートを軸としたパワーピッチングができるところだが問題はそこではなく、山口は140km後半、千賀は150km後半に達するストレートを持ちながら、それに近い球速の球種を持っているところである。そのため、球種の判別がつかず絞りにくいのだ。
山口の場合、元々、ストレートとスラーブ、スライダー、落差のフォークが武器だった。しかし今季は、これらの球種の変化量を少なくし、球速が上がった中で打者と対峙している。例えば、左打者との対戦でインコースをついていくと、打者はストレートとスライダー、フォークを見分けるのが難しい。
日本シリーズ第1戦で山口は、3番の柳田悠岐を2打席連続三振。この時のピッチングがまさにインコースを狙って、球種を投げ分けたものだった。
一方の千賀は、昨季までだと、速いストレートと“お化け”フォークが真骨頂だったが、今季からカットボールを混ぜるようになった。
これが厄介だった。もともと、ストレートが非情に速いのに、あのフォークである。ストレートを意識すれば、フォークでタイミングを狂わされ、逆にフォークを意識すれば、ストレートに振り遅れた。そこに加えて、カットボールを投げることになったため、余計に絞りにくくなったのだ。
千賀のカットボールは140km中盤くらいで推移。打者からすれば、ストレートと同じようなスピード感でやや変化する。この球種を頭に入れれば、いざ150km後半のストレートがくると、差し込まれる。一方、このストレートを意識すれば、追い込まれてからのフォークにバットが止まらなくなる。
この日本シリーズでは、山口、千賀のほか、巨人では、メルセデス、高橋優貴、戸郷翔征などが同じようなピッチングを披露。ソフトバンクでは、リリーバーの石川柊太、甲斐野央などがストレートと近い変化球を駆使して、打者を牛耳っていた。石川は「パワーカーブ」が一般的な印象だが、球速の出るフォークを使うことで、昨年以上の厄介な投手へと変貌していた。
“高速”変化球の使い手が増えていると証言するのは、巨人の捕手・小林誠司だ。
「最近の投手は動くボールを投げる人が多いですよね。大まかにいったら、まっすぐ、スライダー、フォークという球種があって、カットボール、ツーシームが増えてきた。ピッチトンネルという考え方も浸透してきて、前に投げたボールの軌道を生かそうという投球、残像を活用した投球は増えてきた」
巨人・山口俊、ソフトバンク・千賀滉大の両先発が見せたピッチングに現代野球の「勝つ投手」の特徴が如実に現れていたように思えたからだ。
二人のピッチングスタイルは、ストレートを軸としたパワーピッチングができるところだが問題はそこではなく、山口は140km後半、千賀は150km後半に達するストレートを持ちながら、それに近い球速の球種を持っているところである。そのため、球種の判別がつかず絞りにくいのだ。
山口の場合、元々、ストレートとスラーブ、スライダー、落差のフォークが武器だった。しかし今季は、これらの球種の変化量を少なくし、球速が上がった中で打者と対峙している。例えば、左打者との対戦でインコースをついていくと、打者はストレートとスライダー、フォークを見分けるのが難しい。
日本シリーズ第1戦で山口は、3番の柳田悠岐を2打席連続三振。この時のピッチングがまさにインコースを狙って、球種を投げ分けたものだった。
一方の千賀は、昨季までだと、速いストレートと“お化け”フォークが真骨頂だったが、今季からカットボールを混ぜるようになった。
これが厄介だった。もともと、ストレートが非情に速いのに、あのフォークである。ストレートを意識すれば、フォークでタイミングを狂わされ、逆にフォークを意識すれば、ストレートに振り遅れた。そこに加えて、カットボールを投げることになったため、余計に絞りにくくなったのだ。
千賀のカットボールは140km中盤くらいで推移。打者からすれば、ストレートと同じようなスピード感でやや変化する。この球種を頭に入れれば、いざ150km後半のストレートがくると、差し込まれる。一方、このストレートを意識すれば、追い込まれてからのフォークにバットが止まらなくなる。
この日本シリーズでは、山口、千賀のほか、巨人では、メルセデス、高橋優貴、戸郷翔征などが同じようなピッチングを披露。ソフトバンクでは、リリーバーの石川柊太、甲斐野央などがストレートと近い変化球を駆使して、打者を牛耳っていた。石川は「パワーカーブ」が一般的な印象だが、球速の出るフォークを使うことで、昨年以上の厄介な投手へと変貌していた。
“高速”変化球の使い手が増えていると証言するのは、巨人の捕手・小林誠司だ。
「最近の投手は動くボールを投げる人が多いですよね。大まかにいったら、まっすぐ、スライダー、フォークという球種があって、カットボール、ツーシームが増えてきた。ピッチトンネルという考え方も浸透してきて、前に投げたボールの軌道を生かそうという投球、残像を活用した投球は増えてきた」