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高校野球

U-18敗退の悔しさは人生の糧。藤原恭大、上林誠知が語った日本代表を経験した意義

氏原英明

2019.09.08

U-18日本代表での悔しさをバネに、上林はトップチームに招集されるほどの実力を身に付けた。写真:徳原隆元(THE DIGEST編集部)

U-18日本代表での悔しさをバネに、上林はトップチームに招集されるほどの実力を身に付けた。写真:徳原隆元(THE DIGEST編集部)

 ソフトバンクのホープ・上林誠知である。

「こんな悔しい想いは初めてです。絶対、あいつらを追い越して、自分らの世代の頂点に立ちたいと思います。球界のトップだけじゃ満足できない。日本で活躍してメジャーにも行って、あいつらを見返したい」

 ドラフトを前にした高校3年秋、上林は鼻息荒く、そんな話をしていたものだった。

 上林はドラフト上位候補と目されていたものの、高校3年時に出場した春・夏の甲子園で活躍できず、その評価を著しく下げていた。その象徴がU-18日本代表での扱いで、準優勝を果たした2013年W杯日本代表での立ち位置はほぼベンチ。全9試合で打席に立ったのはわずか11回だけだった。

 当時のメンバーというと、森友哉(現・西武)が主将を務め、エースは松井裕樹(現・楽天)。山岡泰輔(現・オリックス)が獅子奮迅の活躍を見せ、田口麗斗(現・巨人)のほか、1学年下の安楽智大(現・楽天)や髙橋光成(現・西武)が投手陣を形成していた。

 森以外の野手では渡邉諒(現・日本ハム)や若月健矢(オリックス)、奥村展征(現・ヤクルト)、内田靖人(現・楽天)、熊谷 敬宥(現・阪神)らも揃っていたが、特に、遊撃手だった熊谷が外野を守った時には、上林の心中は穏やかではなかったという。
「高校JAPANは思い出したくもないくらい、悔しい思い出だった。でも、本当に、悪いようでいい経験だった気はしています。今までが順調に行きすぎていて、落ちることがなかった。神様が一回ここで落として、その悔しさをプロでぶつけろと言ってくれているのかなと。その後の練習に生きているし、あの大会で活躍していたら、鼻が高くなって、練習をせずに、プロに行って腐って終わる人生になっていたと思う」

 高校野球を終えた球児たちは、この時期に練習の強度が緩むケースが往々にしてある。チームが新体制に移行しているため、3年生は練習に自由参加。プロという夢があっても、それほど練習に身が入らなかったりするものだが、この頃の上林にそんな様子は微塵もなかった。それは、日本代表での悔しさが心から離れることがなかったからだ。

 プロ入り後の上林の活躍は周知のとおりである。今年は怪我により、高いパフォーマンスを発揮できない時期が続いているが、昨年
秋に開催された日米野球には、森、松井と並び立つように、上林も侍ジャパン・トップチームのユニフォームに袖を通した。

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