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MLB

険しいトミー・ジョン手術からの復活の道のり。大谷が目指すべきは“上位入賞”ではなく“完走”

出野哲也

2020.07.28

 一方で、復帰初年度からバリバリ投げて好成績を収めた者もいる。13年にマーリンズで新人王を獲得したホゼ・フェルナンデスは翌14年も開幕から絶好調だったが、右ヒジの痛みを訴えて5月にTJ手術。14ヵ月後の15年7月に復帰すると、11登板で防御率2.92といきなり手術前と同水準の投球を披露した。続く16年も29先発で16勝、防御率2.86、253奪三振。ここまでTJ手術の影響を感じせさせない投手も稀で、16年シーズン終了間際にボート事故で命を落としてしまったのは返す返すも残念だった。

 現在FAのマット・ハービーは、13年にメッツで防御率2.27、K/BB6.16と大活躍。球宴で先発もしたが、同年10月に手術。復帰した15年は防御率2.71、K/BB5.08とほぼ以前と同じ数字を残した。16年以降は肩を痛めて不振が続いたが、「TJ手術からの復帰」という観点では成功例に数えていい。

 逆に、ハービーとチームメイトだったザック・ウィーラー(現フィリーズ)は復活まで長い時間を要した。15年3月にTJ手術を受けた際、内側側副靭帯だけでなく別の箇所も移植したことに加え、手術後も右ヒジの違和感を訴えてコルチゾン注射を受けるなど回復が遅れに遅れた。

 16年8月になってようやくマイナーでリハビリ登板を果たしたが、わずか17球投げた時点で右腕の痛みを訴えて降板。メジャー復帰を果たした17年も故障者リストに2度入り、成績も17試合で防御率5.21と苦戦した。だが、18年は182.1回で防御率3.31の好成績をマーク。19年も防御率は悪化したが、オフにFAとなり、フィリーズから5年1億1800万ドルの高額契約を引き出すことができた。
 
 残念ながら、復帰後に以前の輝きを失ってしまった投手の代表格が、今季ソフトバンクに入団したマット・ムーアだ。実質メジャー1年目の12年に11勝、翌13年は17勝、防御率3.29でオールスターに選出。レイズがムーアをどれだけ高く評価していたかは、まだメジャーで3試合しか投げていなかった11年オフに最大8年の延長契約を結んだことでも明らかだった。

 だが、14年に2試合投げた後、ヒジの不調を訴えて4月22日にTJ手術。翌15年7月にメジャーへ戻ってきたが、12試合で防御率5.43、以後18年まで防御率が4点台を下回った年は一度もなく(19年は肩の故障で2登板のみ)日本行きを選んでメジャーでのキャリアを中断することになった。少なくとも、彼のヒジが元の状態より良くならなかったのは確かである。
 

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