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MLB

ボンズやプーホルスを彷彿とさせる超高等“テクニック”――斎藤隆が見た大谷翔平ホームラン量産の理由<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2021.07.12

歴史に残るスラッガーとしてボンズ(左)はMVP7回、プーホルス(右)は3回受賞。大谷は今季その受賞の可能性が高まり続けている。(C)Getty Images

歴史に残るスラッガーとしてボンズ(左)はMVP7回、プーホルス(右)は3回受賞。大谷は今季その受賞の可能性が高まり続けている。(C)Getty Images

――他に、昨季に比べて進化した点があれば教えてください。

 先ほど言ったように、真ん中より外めの球を逆に引っ張っている、右中間の方に腕を伸ばして、角度をつけて打っているというのがその一つですね。昨年までは、強引に引っ張りこむようなホームランはあまりなかったので。そういう意味では、明らかにホームランを「打とうとして打っている」ように見えます。

――今のメジャーで主流のフライボール革命に適応するために、フルスウィングしているという感じでしょうか?

 それは感じますね。特に初球のフルスウィングが非常に目立ちます。単に初球からガンガン振っていくというのだけではなくて、たとえば初球の真っすぐを空振りして、相手投手が打たれそうだなと思って、2球目を変化球に変えたときの方が打っています。しっかり振ったときほど、振りながら駆け引きをしている。

 ピッチャーもやはり、「あれ当たったらいっちゃうな」というスウィングをされると、1打席目は真っすぐで勝負できても「2打席、3打席目は大丈夫だろうか」という思いがどこかで出てきますから。

 今季は1打席目の三振が多いと僕は感じていて、それに加えて2打席目、3打席目に打ち崩している印象も同じように強いです。1打席目の三振を布石にして、それ以降の打席で打ち崩す……という駆け引きをかなり意識しているように感じます。
 
――「振りながらの駆け引き」というのは何気なく言っているようで、実はものすごい高等技術ではありませんか?

 大谷選手は何気なくやってるんですけど、実はとんでもないことですね。スウィングが大きく変わった感じがないので、今季の大谷選手の活躍に驚いている人も多いと思うんですが、僕はそれ以上に「こんなに駆け引きをするんだな」という驚きの方が強いです。

――斎藤さんの現役時代、大谷と同じような駆け引きをしていた選手は誰がいましたか?

 僕が対戦した相手だと、バリー・ボンズや、全盛期の(アルバート・)プーホルス(現ドジャース)ですね。むしろ駆け引きだけで言ったら、大谷選手はもしかしたら彼ら以上かなと感じるときもあります。プーホルスやボンズは選球眼が優れている部分も大きかった。大谷選手の場合は、むしろボール球もホームランにしていて、プーホルスやボンズとはタイプがちょっと違うかもしれません。別種の天才という感じです。

 相手が失投するまで三振せずに粘って仕留めるというバッターは、日本にもいると思うんですが、大谷選手の場合は違います。打てるボールが来たら多少ボールであろうとも振り抜く。むしろドミニカ共和国やキューバ出身の選手にアプローチが近いように感じます。それに飛距離や打球の質も、普通の日本人選手とは明らかに違いますよね。
 
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