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プロ野球

【キャンプ展望:阪神】「A.R.E」でオフの話題を独占。それでも、11年ぶり現場復帰の岡田彰布新監督に感じる不安<SLUGUGER>

花田雪

2023.01.26

「3連投ぐらいせなあかんやろ。キャンプの投げ込みが少なすぎ。久保田も井川も3000球投げていた」(1月2日付・日刊スポーツでの鳥谷敬氏との対談)

「(選手が自分でつけたノートとかはええけど)オリックスの監督のときもベンチに書類なんか持っていかせんかった。『みんな覚えてこい』って」(1月5日付・東京スポーツ)

 投げ込みを極力抑え、肩やヒジへの負担を軽減させつつ効率的にパフォーマンス向上を狙うことも、ベンチ内でデータを活用することも、すべて現代野球界では常識になりつつある。

 それらを真っ向から否定するようなコメントを見ると、正直不安を覚えてしまう。

 特に引っかかるのが、「久保田も井川も」「オリックスの監督の時も」といった、自らの経験をベースに現在の潮流を否定している部分だ。指導者も選手も、時代の変化を受けて常に脳内をアップデートしなければならない。しかし、自らの経験談、成功体験だけで物事を進めようとすると、いつか必ず“時代遅れ”になる。それは、野球の世界に限ったことではない。

 もちろん、キャンプイン、そしてシーズンに突入する中で、岡田監督が時代にうまく適応していく可能性もある。
 そんな希望が垣間見られるのが、選手たちの岡田監督に対するリアクションだ。就任以降、解説者時代からの口癖である「おーん」や「アレ」といったフレーズがメディアやSNSで取り上げられることが急増したが、現場レベルの選手たちも積極的に「アレ」を多用するなど、いい意味で岡田新監督の口癖を“イジる”傾向が見られる。そのイジりは23年のスローガンが「A.R.E」になったことからも分かるように、チーム全体に波及している。

 65歳の岡田監督にとって、現役選手は親子以上に年が離れた存在だ。そのジェネレーションギャップを逆手に取り、孫がおじいちゃんに相対するように程良い距離感と緊張感でプレーすることができれば……。そして、岡田監督自身もそういった選手の気質や対応を受け止め、新しいモノ、新しい価値観を受け入れる度量を見せることができれば……。

 岡田彰布新監督が、時代に即した指揮官かどうかは、その“器の大きさ”次第と言えるかもしれない。

文●花田雪(編集者/スポーツライター)

プロフィール
1983年、神奈川県生まれ。編集プロダクション勤務を経て、2015年に独立。野球を中心に大相撲、サッカー、バスケットボール、ラグビーなど、さまざまなジャンルのスポーツ媒体で編集・執筆をおこなう。著者に『オリックス・バファローズはいかに強くなったのか?選手たちの知られざる少年時代?』(日本文芸社)、『あのプロ野球選手の少年時代』(宝島社)がある。
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