また今年から山﨑康晃は投手キャプテンに就任。「引っ張っていかなくてはならない存在だと自負しています」との自覚のもと、球団に新加入してくる個性の強いプロ野球選手たちを、違和感なくベイスターズに迎え入れる点にも尽力している。

　超大物のバウアーに対して「実績もありますし、非常に大きな戦力だというところは加入する前から僕らは知っていました」としながらも「それこそ毎回、みんなも初登板の１球目があったように、ルーキーが投げるときだったり、新規加入の選手が仲間に加わってミーティングで話すときも、全員でお祝いできるようにチームとして温かい目で見れるようにバックアップしていこうねと、常日頃からやっているので」と特別視することなく受け入れ「そこに関しては全員同じ気持ちで臨めたのかなと思いますよね」と日頃からの取り組みに手応えも感じている。

　もちろんバウアーの「非常に和やかなムードで、僕らから気を使うようなこともなく喋っていただけます」との人柄もあるだろうが、明るく和気あいあいとした、溶け込みやすいチームカラーを作り上げていたこともあり「選手は素直に疑問だったり、技術のクエスチョンは本人に聞けるような環境が今でも構築されているんで。これまでのファームでの過ごし方とか、純粋に選手が聞けるような環境は整っていると思ってます」とバウアーとの関係性も良好と明かす。
  　バウアーには「野球に関しての脳、“野球脳”っていうんですかね。その頭がすごくいい感覚が見受けられるので、やはり話しやすいですよね」とコミュニケーション能力にも長けていると分析。その上で「若手もそろってみんな聞きに行ってます。今永(昇太)、大貫(晋一)、上茶谷(大河)とか日本でも実績のある選手が彼に聞いたりと、いい学びの場になってくれている」と具体的な選手名も挙げ、チームメイトの成長を願う。自身は技術的な交流はまだだが「目で見て目で盗むではないですけど、本当に勉強になる部分が多かったので、またゆっくり話したいなと思います」と意欲を見せた。

　野球を科学する“ベースボール・サイエンティスト”から伝授される最先端理論はまさにプライスレス。「本当にチームとしての大きな武器だと思うので、そこは今後も彼に力を借りながら。実績のある選手に技術を教わりながら僕らも成長していきたいなと個人的には思っています。チームの戦力としてですね、大事にしていくべきだと思います」と、キャプテンらしい広い視野でチームファーストを貫く"小さな大魔神”。反省と学び、そして成長。康晃らしくチームをまとめ、悲願の頂へとチームを導く。

取材・文●萩原孝弘

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