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プロ野球

“おかわり君”の異名の裏にある中村の技術力、栗山の追い込まれてからの驚異的な粘り――レオの40歳コンビが来季もチームに欠かせぬ理由<SLUGGER>

氏原英明

2023.09.28

 一方、開幕当初こそおとなしかったが、徐々にエンジンの回転数を上げてきた栗山も4番に入ることが増え、その技術力を発揮している。
 
 改めてその技術に舌を巻いたのは、9月1日のソフトバンク戦だ。

 相手先発は前回対戦でノーヒッターを喰らっていた石川柊太だった。

 1回は2死一、二塁の好機で迎えると、1ボール2ストライクから粘って四球を選び、後続のタイムリーを演出。2回裏の2死満塁の好機では三振に倒れたものの、4回には2死から右翼スタンドへ3ランを放っている。

 この試合の栗山がプロの技を見せたのは追い込まれてからの粘りだ。

 実は、3打席とも3球以内で追い込まれていた。だが、1打席目は6球、2打席目は9球、3打席目は7球を、それぞれ石川に投じさせていた。

 追い込まれてからの脅威的な粘りについて尋ねると「そんな重い話、やめときましょう」と栗山はそう言って多くを語ることを避けようとしたが、質問を重ねるとこう話してくれた。
 
「(石川投手に)ちょっと押され気味でもあったんで、真っ直ぐでも、パワーカーブでもカウントを取られたし、何とか対応が迫られた打席が続いてしまった。(石川は)どこでタイミングが合ってくるか。それが難しいピッチャーやと思うんですよね。何かしら決めないと対応は難しい。1打席目は追い込まれてからボール球を振りたくないなと思っていた中でのフォアボール。それは大きかったですね。3打席目とも得点圏のチャンスを作ってくれていたので、そういう巡り合わせ中で、今日、タイミングが合うボールが第3打席にきたということです」

 さらに9月26日のオリックス戦では、1対1の9回表、中村が勝ち越しタイムリーを放ったのに続き、4番に入っていた栗山も適時二塁打を放った。相手投手は今季防御率1点台の山﨑颯一郎で、2人とも高い技術力を見せたと言える。

 不惑を迎え、この時期に契約のことが話題になるのは仕方ないだろう。

 球団は2人との契約更新に前向きだとも聞く。やはり、この2人はライオンズに欠かせない。この1年は、そんな打棒を見せてくれた。

取材・文●氏原英明

【著者プロフィール】うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『SLUGGER』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設。このほど、パ・リーグ特化のWEBマガジン「PLジャーナル限界突パ」を創刊した。

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