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MLB

大物FA獲得にA-RODの復帰、松井秀喜のMVP…ヤンキース27度目の栄冠までの軌跡【2009年ワールドシリーズ】

マーク・ファインサンド

2020.01.13

サバシア(左)とバーネット(右)は先発陣強化に加え、チームの盛り上げ役としても期待された。(C)Getty Images

サバシア(左)とバーネット(右)は先発陣強化に加え、チームの盛り上げ役としても期待された。(C)Getty Images

「僕自身は、とにかく勝ちたいと思っていた。勝つことが自分の一番の目的であることがはっきりしてからは、他に選択の余地はなかったね」

 サバシア獲得に成功すると、ヤンキースの打者を長年にわたって苦しめてきた速球派右腕のバーネットが次のターゲットになった。結果的に、バーネットの獲得はサバシアよりも簡単だった。ヤンキースは強力な条件をオファーし、サバシア獲得に成功したこともあってバーネットはすんなり受け入れた。

「簡単な決断だった」とバーネットは振り返る。「他のチームのオファーを受けようともしなかったよ。キャッシュとヤンキースが提示した条件以上のものはなかったはずだ」

 先発ローテーションに2人の大物加えたことで、キャッシュマンGMは大型補強は終わったと考えていた。ただ、ベテラン左腕のアンディ・ペティットとの契約問題は残っていた。どちらも再契約に前向きだったが、ペティット側の代理人が強硬な姿勢を崩していなかった。
 
 一方、大物スラッガーのマーク・テシェーラはまだFA市場に残っていた。レッドソックスが獲得一番手と見られていたが、契約合意寸前で破談となっていた。

 ヤンキースはすでにニック・スウィッシャーを正一塁手候補として獲得しており、テシェーラを獲得するだけの資金的余裕もなかった。そこでキャッシュマンGMはオーナーのハル・スタインブレナーに会い、補強予算を1000万ドル上乗せするよう求めた。そうすればテシェーラを獲得できると。球界屈指のパワーヒッターで、ゴールドグラブを受賞した実績もあるテシェーラは、ヤンキー・スタジアムにも打線にも完璧にフィットする存在だった。

 スタインブレナーはキャッシュマンにGOサインを送った。テシェーラはボルティモア育ちで、ヤンキースのレジェンド、ドン・マッティングリーを子供の頃のお気に入り選手として挙げていた。キャッシュマンは代理人のスコット・ボラスに、レッドソックス、ナショナルズを上回る8年1億8000万ドルを提示した。それから48時間もしないうちに、テシェーラはヤンキースの一員となった。
 
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