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MLB

大物FA獲得にA-RODの復帰、松井秀喜のMVP…ヤンキース27度目の栄冠までの軌跡【2009年ワールドシリーズ】

マーク・ファインサンド

2020.01.13

PED使用を認めるなど相変わらずのお騒がせぶりだったA-RODだが、この年は珍しく(?)プレーオフで大活躍した。(C)Getty Images

PED使用を認めるなど相変わらずのお騒がせぶりだったA-RODだが、この年は珍しく(?)プレーオフで大活躍した。(C)Getty Images

「『ようやくA-RODが戻ってきた!』という感じだった。チームにとって大きな日だったね」。当時、打撃コーチだったケビン・ロングは言う。

「復帰最初の試合で注目される中でホームランを打つなんて、まさにA-RODだ。シングルでもツーベースでもなくホームランだからね。彼にまだ力が残っていることが分かったことも、チームにとって大きかった」

 ヤンキースは再び力強さを取り戻したが、宿敵レッドソックスとの激しい首位争いはその後も続いた。6月に入ってまたも調子を落とし、レッドソックスに5ゲーム差を付けられた。

 キャッシュマンGMもチームの現状に不満を感じていた。ブレーブスに完封負けを喫した直後、GMは急きょアトランタへ飛び、チームミーティングを開いて選手たちに不満をぶちまけた。
 
「我々は、少なくとも理論上はエリートチームのはずだ。今、一体何が起きているのか、私には理解できない」とキャッシュマンは言った。

「私が言いたかったのは簡単なことだ。『自分たちが何者なのか思い出せ』ということだ。選手たちが対戦相手を買いかぶりすぎているような感じがしたんだ。どんな投手だって、うちの打線を相手にしたら『一体どうやってこの打線を相手に無傷で切り抜けろというんだ』と思うに決まっている。だから、私は言ったんだ。『君らは自分たちがどれだけすごいか忘れてしまっている。とにかく自分の仕事に集中しよう』とね」

 その夜、ヤンキースは試合に勝った。ジラルディ監督が退場処分を受けたことにチームが奮起し、新人捕手のフランシスコ・セベリがメジャー初本塁打を放った。この勝利を機にヤンキースは7連勝し、数週間後にア・リーグ東地区首位を奪還してからはずっとその座を守ったまま3年ぶりの地区優勝を果たした。

 レギュラーシーズンの成績は103勝59敗、そのうちサヨナラ勝ちが15回もあった。そのたびに、バーネットがヒーローの顔にクリームパイをぶつけた。

 プレーオフでは、まず地区シリーズでツインズをスウィープで蹴散らし、リーグ優勝決定シリーズでは4勝2敗でエンジェルスを下した。
 
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