――作品に反映されるかどうかは別として、今この時点でクロマツ先生が一番興味がある事象、事柄はどんなことですか？

クロマツ　大谷翔平選手（エンジェルス）を見ていると、「現代の野球はやっぱりフィジカルだ」という感じになっていますよね。でも、僕は源田壮亮選手（西武）みたいな選手も大好きだし、近藤健介選手（ソフトバンク）もどっちかというとコンタクト率の高い職人タイプの選手ですよね。

　特にWBCを見て再確認できたのは、フィジカルだよりではなく、いろんな選手を育成できて、緻密な組織野球ができる土壌が日本にはあるということ。だからこそ、フィジカル＋組織野球というのを描きたいです。

　たとえばWBCでは、代走・周東右京選手（ソフトバンク）が清水雅治コーチと緻密な代走の確認事項を作っていたとか。絶対にアメリカはそこまでやってないし、何とかフィクションに盛り込みたいと思っています。今はそういう、作品に盛り込みたい野望ばっかり収集してる感じですね（笑）
  ――最後に、『ドラフトキング』ではランディ・ジョンソン投手からパッド・ニシェック投手まで、スーパースターからマニアックな選手も含めてメジャーリーガーがたくさん出てきますが、登場の基準というのは自分の好きな選手ですか？

クロマツ　そうですね、全部そうです。ジョシュ・ヘイダー投手（パドレス）とかも、だいぶ登場させたのは早かったと思います。やっぱりメジャーを見て、野球観が変わったんですよね。年俸とかえぐいじゃないですか。あれだけもらえたら、一年で潰れてもいいじゃないですか。先発投手は中４日で投げるし、プレースタイルも勢いがあって、あんな身体の使い方したら、そりゃ靭帯切れるじゃん、って。むしろ、メジャーの方がむしろ根性野球なんじゃないかって思い始めたんですよね。むしろちょっと線香花火みたいなかっこよさを感じています。

　後は、これを続けていたら集英社さんがいつかアメリカへ連れていってくれるんじゃないかと思ってやってます（笑）　実際、『ドラフトキング』もそろそろメジャーを観に行くタイミングじゃないかなと思ってるんですよね。飛行機に乗る郷原が出てくるかもしれませんね！

【プロフィール】
クロマツテツロウ／奈良県出身、東京在住。右投右打。グランドジャンプにて『ドラフトキング』・『山本昌はまだ野球を知らない』（原作担当）、ゲッサンにて『ベー革』を現在連載中。その他の主な作品に『野球部に花束を～Knockin' On YAKYUBU's Door～』（月間少年チャンピオン／秋田書店）、『ヤキュガミ』（週刊ヤングマガジン／講談社、原作担当）などがある。

取材・構成●SLUGGER編集部

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