新シーズンの開幕を約３週間後に控え、NBAでは各球団による毎年恒例のメディアデーが開催されている。

　それぞれのチーム構想が徐々に明らかになるなか、昨シーズン、カンファレンス・セミファナルでオクラホマシティー・サンダーに３勝４敗で惜敗し、ファイナル進出を逃したデンバー・ナゲッツのデイビッド・アデルマンHC（ヘッドコーチ）が、今季の基本的な方針を次のように明かした。

「昨プレーオフで見せた戦術のいくつかは今シーズンも採用することになるだろう。その上でディフェンスのバリエーションを増やしていく。オフェンスでは、効果的だった戦術を継続することが大事だと考えているが、リーグ全体に見られる変化や、相手チームの我々に対するディフェンスにいかに対応するかに意識を向けることが重要になる」

　そのなかで興味深いのが、新たに加入したリトアニア代表のビッグマン、ヨナス・ヴァランチュナスの起用法だ。

　昨季は途中加入したサクラメント・キングスで、ドマンタス・サボニスの不在時に見事にバックアッパーを務めた33歳には、大エースのニコラ・ヨキッチの負担を軽減する役割が期待されている。
  　昨季のヨキッチは１試合平均36.7分と、センターでリーグ最多、全体でも４番目に長い時間コートに立っていた。負担の大きさは明らかで、プレーオフ敗退後には本人もベンチの層を充実させることを次シーズンの課題に挙げていた。

　その点で、ヴァランチュナスはこの上ない補強と言える。

　アデルマンHCは語る。

「彼はポストアッププレーヤーとして即戦力になる。チームに何をもたらしてくれるかを計算できる選手だ。素晴らしいオフェンシブリバウンダーであり、ドリブルハンドオフの達人でもある。

　シーズンを通してサクラメントの試合を見ていなかった人も多いかもしれないが、サボニスが離脱した時にその穴を埋めたのは彼（ヴァランチュナス）だ。おかげでオフェンス面は全く遜色なく機能していた。これは大きな称賛に値する。サボニスの実力がどれほどかは、誰もが知っての通りだ。だから我々も、彼を貴重な戦力としていく」

　その上で指揮官が構想に入れているのは、ヨキッチのバックアッパーにとどまらず、２人を共闘させるツインタワー計画だ。

「どこかのタイミングで、２人を同時に起用する場面も訪れるだろう。チェンジング・ディフェンスの時などは狙い目だ。相手が２人をどうガードしてくるのかに着目したいね。誰が誰につくのか、というのは非常に興味深い選択になる。

　もし相手の小柄な方がヴァランチュナスにつけば、彼はその相手をオフェンスで完全に打ちのめす。もちろん、ニコラにもそれができることはみなさんも知っての通りだ。この２人を共闘させることで、様々な戦術が可能になるだろう」