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「キャリアをさらに昇華させたい」NBA引退後に“イスラエル人”となった元オールスター、アマレ・スタッダマイアーの第2の挑戦

小川由紀子

2020.03.25

NBAでの活躍を経て、現在はイスラエルでプレーを続けるアマレ。“第2の故郷”でも人気は健在だ。(C)Getty Images

 欧州各国のトップクラブが参戦し、約半年にわたって頂点の座を競い合うユーロリーグ。ここでは欧州のトッププレーヤーはもちろん、のちのNBA入りを目指す若武者や、活躍の場を求めて海を渡ったかつてのスターたちがひしめき合っている。現在ユーロリーグでその名を轟かせる元NBAプレーヤーをシリーズで紹介しよう。

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 NBA史上初となる高卒のルーキー・オブ・ザ・イヤー。フェニックス・サンズやニューヨーク・ニックスで輝かしいキャリアを築き、14年間で6度オールスターに選出されたアマレ・スタッダマイアー。2016年7月、33歳の若さで惜しまれつつNBA引退を発表したが、37歳の今も異国の地でプレーを続けている。

 彼が現在所属しているのは、ユーロリーグ優勝6回を誇るイスラエルの名門、マッカビ・テルアビブ。今季は10月から中国の福建スタージョンズに所属し、11試合に出場して平均19.4点、8.3リバウンドと活躍していたが、12月にアメリカに帰り、その後もプレーできる場を模索していた。
 
 そんななか、かつてロサンゼルス・レイカーズやヒューストン・ロケッツに在籍したタリク・ブラック、そしてイスラエル初のNBAプレーヤー、オムリ・カスピの両ビッグマンが揃って負傷し、即戦力を探していたマッカビとの契約がまとまった。

「ものすごくワクワクしている。マッカビは世界の中でも、数々の栄光に彩られたスポーツクラブのひとつだ。このようなハイレベルな場で再びプレーできるチャンスを得ることができて嬉しい。ユーロリーグ参戦も楽しみ。自分のキャリアをここでさらに昇華させたい」

 入団に際して、そう抱負を語ったアマレ。契約は今シーズン終了までで、ユーロリーグもイスラエルリーグも、例に漏れず新型コロナウィルスの影響で休止中だが、国内リーグでは5試合に出場し平均14.2分で8.0点とまずまずのスタートを切った。ユーロリーグでも、短い時間ながら、徐々に感覚を掴んできていた。

 NBA時代のスッキリした丸刈りとは一転、ボブ・マーリー風のロングのレゲエヘアとルックスはすっかりワイルドになったが、ピック&ロールからリムが折れそうなほどパワフルなダンクを叩き込むプレーは健在。コート上にいるだけで、全体の雰囲気を一変するような強烈なオーラを発しているのは、さすが元オールスターだ。
 
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アマレとイスラエルの切っても切れない関係