NBA

NBAでの2度の優勝を経て、欧州屈指のプレーヤーとなったノリス・コールの物語

小川由紀子

2020.06.07

行く先々でチームを国内優勝に導いてきたコール。新天地となったフランスのアスヴェルでは、悲願のユーロリーグ制覇を果たすことができるか。(C)Getty Images

 6月3日(日本時間4日、日付は以下同)、トニー・パーカー(元サンアントニオ・スパーズほか)が会長を務めるフランスリーグのアスヴェルは、かつてマイアミ・ヒートでレブロン・ジェームズ(現ロサンゼルス・レイカーズ)らとともに2度のNBAチャンピオンを勝ち取ったポイントガード(PG)、ノリス・コールと2年契約を結んだことを発表した。

「彼の実力は、NBAやユーロリーグ、そしてジープ・エリート(フランスの国内リーグ)でも証明済みだ。彼はあらゆる状況に対応できる術を知った選手で、我々のオフェンスを牽引するリーダーとなってくれることだろう」とパーカー。強力なメンバーの獲得に、喜びを隠しきれない様子だった。

 今季、コールはアスヴェルと同じフランスリーグのASモナコに所属。同球団はコロナ禍でシーズンが中断された時点で、アスヴェルと同率でリーグ首位に立っていた国内の強豪の一角であり、そこでコールはともにチームベストの平均14.3点、 4.5アシストをマークしていた。
 
 現役時代はユーゴスラビア代表でガードとしてプレーし、現在はモナコを指揮するサシャ・オブラドビッチHC(ヘッドコーチ)も「彼が加わった途端に、チームはガラリと変わった。ゲームの流れを読む力、ベストのオプションを選択できる状況判断力、そしてチームに貢献しようという献身さ。彼には周りの選手たちに影響を与える力がある」と絶賛していただけに、チームのベストプレーヤーを引き抜かれたのは大きな痛手となったに違いない。

 ただ、アスヴェルへの移籍により、来季のコールはモンテネグロのブドゥチノスト・ヴォリで参戦した2018-19シーズン以来、2年ぶりにユーロリーグの舞台に立つことになる。

 ユーロリーグの出場枠拡大に伴いワイルドカードをゲットしたアスヴェルは、今季10年ぶりに欧州最高峰のリーグに参戦。序盤は強豪CSKAモスクワ(ロシア)を破るなど善戦したが、年明けからは6連敗と低迷し、28節で中断した時点では15位と、プレーオフ出場圏内から完全に脱落していた。その意味でも、彼らにとって今回のリーグ打ち切りは体制を立て直すいい機会となっただろう。
 
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