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NBA

「火星人、ブサイク、話し好き」多彩な顔で魅了したキャセールという男【NBA名脇役列伝・後編】

出野哲也

2020.08.28

確かな実力に加え、個性的なキャラクターでも存在感を放ったキャセール。行く先々でファンに愛された。(C)Getty Images

確かな実力に加え、個性的なキャラクターでも存在感を放ったキャセール。行く先々でファンに愛された。(C)Getty Images

 キャリアで3度の優勝を経験したキャセールは、「ヒューストンのプロスポーツで最初の優勝だったから」との理由で、初タイトルが最も感慨深いと振り返っている。

■彼は火星から来たのか――強烈な風貌でも注目を集める

 続く94-95シーズンも、前年同様にプレーオフで輝きを放つ。2年連続でサンズと対戦したカンファレンス準決勝では平均14.6点、サンアントニオ・スパーズとのカンファレンス決勝でも、第5戦で30点に加え12本のアシストを繰り出した。

 オーランド・マジックと対戦したファイナル第1戦は、スミスが大活躍したため出番は少なかったが、第2戦の試合前には「今日は俺の番だから休んでおいてくれ」とスミスに宣言。第2クォーターだけで16点、計31得点を叩き出し、敵地での連勝を決めた。ロケッツはホームでの第3、4戦にも勝ち、マジックに4タテを食らわせた。MVPに選ばれたオラジュワンをはじめ、クライド・ドレクスラーやロバート・オリーの活躍に霞んでしまったとはいえ、6thマンのキャセールの存在もチームにとっては欠かせないものだった。
 
 キャセールは、そのキャラクターの濃さでも大いに注目を浴びる。何より見た目が強烈で、ツルツルに剃り上げた頭と細長い目は地球外生命体を連想させ、「彼の出身地はボルティモアではなく火星じゃないのか?」とからかわれた。「NBAイチのブサイク」とまで言われ、あるウェブサイトが実施した「ブサイクなスポーツ選手100人」という企画では、堂々の(?)2位にランクイン。日本の某お笑い芸人にそっくりとだとも言われている。

 また、際限のない話し好きでもあり、時と場所を選ばず独特の甲高い声で喋り続けた。移動中はキャセールのマシンガントークから逃れるため、チームメイトたちは眠くもないのに目を閉じ、ヘッドフォンをつけて流れてもいない音楽に耳を傾けるふりをしたほどだ。

 それは他球団の選手であってもお構いなしだった。当時スパーズに在籍していたエイブリー・ジョンソンは「ファイナルのロケッツ戦を客席で観ていた時、あいつは俺を見つけた瞬間に言ったんだ――『よお、AJ、元気か?』――まさかファイナルのプレー中に、観客に話しかけるヤツがいるとは思わなかったよ」。
 
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