NBA

レブロンに抜かれるまでNBA記録を保持。名脇役フィッシャーの“偉大な記録”と“レイカーズ愛”とは

秋山裕之

2020.11.12

18年のキャリアで5回の優勝を成し遂げたフィッシャー。その栄光に満ちたキャリアに迫る。(C)Getty Images

 2019-20シーズン。NBAは新型コロナウイルスの影響で前代未聞のレギュラーシーズン中断となり、7月末からフロリダ州オーランドにあるウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート内に作り上げた"バブル"と称される特殊な環境でシーズンを再開。10月のファイナルでは、ロサンゼルス・レイカーズがボストン・セルティックスと並びNBA史上最多タイとなる17度目の優勝を飾った。

 王座に返り咲いたレブロン・ジェームズは自身4度目、そして史上初となる異なる3チームでファイナルMVPに輝いたほか、ある通算記録でも歴代1位に躍り出た。マイアミ・ヒートとのファイナル第6戦に出場し、プレーオフ通算出場試合数で歴代最多となる260に到達。これまで最多記録を保持していたデレック・フィッシャー(元レイカーズほか/259)を抜き去ったのである。

 レブロンの偉業もさることながら、これまで1位の座に立っていたのが、現役時代には決してスター選手ではなかったフィッシャーというのも興味深い話だ。ここからは、栄光に満ちた彼のキャリアについて振り返っていきたい。
 
 1996年のドラフト1巡目24位でレイカーズから指名された185cmの小兵は、ルーキーシーズンから80試合に出場し、NBAキャリアをスタートさせた。ドラフト同期のコビー・ブライアントのようなスター性こそなかったものの、攻守ともに堅実な働きで出場機会を確保し、先発と控えを行き来しながらレイカーズの主力へと成長。シャキール・オニールとコビーというリーグで5本の指に入るスーパースターを2人も擁し、フィル・ジャクソンHC(ヘッドコーチ)の下で2000年から02年にかけて3連覇を成し遂げた際も、貴重な働きを見せて王者の一員となった。

 特に印象的なのは00-01シーズン。右足の疲労骨折のため、開幕から長期欠場を余儀なくされたが、3月13日(日本時間14日、日付は以下同)のセルティックス戦で復帰すると、26得点、5リバウンド、8アシスト、6スティールの大活躍で勝利に貢献。

 レイカーズはフィッシャーが出場した20試合で15勝5敗と調子を上げ、8連勝でレギュラーシーズンを終えると、プレーオフに入っても1回戦(対ポートランド・トレイルブレイザーズ)、ウエスタン・カンファレンス・セミファイナル(対サクラメント・キングス)、カンファレンス・ファイナル(対サンアントニオ・スパーズ)を無傷で勝ち上がり、圧巻の19連勝でファイナルまで駒を進めた。
 
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フィッシャーが語る“レイカーズ愛”