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NBA

NBAに参戦するファクンド・カンパッソとは何者か。世界最高峰のトリッキーなプレーは一見の価値あり

小川由紀子

2020.12.06

昨年のW杯でアルゼンチンを準優勝に導き、スペインのレアルでも数々のタイトルを獲得したカンパッソが今季からNBAでプレーする。(C)Getty Images

昨年のW杯でアルゼンチンを準優勝に導き、スペインのレアルでも数々のタイトルを獲得したカンパッソが今季からNBAでプレーする。(C)Getty Images

 アルゼンチン代表、そしてスペインの名門レアル・マドリーの司令塔、ファクンド・カンパッソが、今季からNBAに参戦する。

 入団するのはデンバー・ナゲッツ。11月30日に2年契約を結び、晴れてチームの仲間入りとなった。なお、レアルとの解約金は600万ドル、そのうちナゲッツがレアルに支払えるのはNBAの規定により72万5000ドルまでで、残りはカンパッソ自身が払うことになる。ただし報道によれば、ナゲッツとの契約ではこの解約金の支払いをまかなえる額のサラリーが約束されているという。

 22歳でエントリーした2013年のドラフトで指名を得られなかったカンパッソは翌年、活路を求めてレアルに入団した。しかしそれからもNBAへの挑戦は、彼にとってどうしても実現したい目標だった。

 念願叶ってナゲッツ入りが決定したあと、カンパッソは自身のインスタグラムで、家族写真とともに「この嬉しさをどう表現したらいいのか。今は緊張と興奮が入り混じった気持ちだ。ベストを尽くすよ。この機会を与えてくれたナゲッツに感謝している」と喜びのメッセージを投稿している。
 
 もっとも、2度のユーロリーグ優勝に加え、国内のACBリーグ3冠、2019年はファイナルMVPにも選ばれるなど、充実したキャリアを送っていたレアルを離れることは難しい決断でもあった。眠れない夜を過ごすなど何か月間も真剣に悩んだという。しかし最終的には、「自分の夢を実現したかった。そのためにできることはすべてやってみようと思った。引退したあとで、『あれをやっておけばよかった』と後悔するのだけは嫌だったから」と、新たな挑戦を決意した。

 退団の挨拶代わりにクラブの公式サイトに寄せたロングインタビューでは、会長はじめチームメイトやスタッフ、ファンへの感謝があふれんばかりに語られているが、実際、6年間在籍した彼のレアルでのキャリアは恵まれていた。入団2年目からの2シーズンはより小規模のムルシアにレンタル移籍して実戦経験を積み、ユーロカップにも出場。この2年間は、彼がスターティングガードとして成長する上で貴重なステップであり、素質を見込んで根気よく育てるレアルの哲学の恩恵でもあった。
 
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