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コロナがなければ…欧州に戻ったドラガン・ベンダーの課題を元同僚が証言「練習と試合で別人」〈DUNKSHOOT〉

小川由紀子

2021.02.22

昨季はウォリアーズ移籍後にまずまずのプレーを見せていたベンダー。それだけに新型コロナでの中断が悔やまれる。(C)Getty Images

 新型コロナウイルスは、多くの人の人生に影響を与えている。「コロナがなければ違う状況になっていたかもしれない……」という体験をしている人も、少なくないだろう。

 イスラエルの名門、マッカビ・テルアビブに所属するドラガン・ベンダーもおそらくその1人だ。彼は、新型コロナウイルスの影響でNBAが中断された2020年3月、アメリカでの生き残りを賭けた10日間契約の真っ只中にいた。

 ユーロリーグの2チームが初めてアメリカの地で対戦した、2015年10月のUSAツアー。マッカビ・テルアビブの一員としてアルマーニ・ミラノ戦に出場したベンダーは、シカゴとニューヨークで行われた2試合で、全フランチャイズのスカウトマンの目に触れた。

「2016年ドラフトの大本命。まだ18歳にもなっていない7フッターは、フロアを駆けまわり、ボールを巧みにハンドリングし、中からも外からも決められる。ディフェンス面でのインパクトもある」

 彼のパフォーマンスは噂どおりだと、ベテラン記者陣をも唸らせた。
 
 2014年のオフ、ベンダーはユーロリーグ優勝を果たしたばかりのマッカビ・テルアビブと4年契約を結んでいたが、130万ドルの契約解除金を支払う覚悟で、2016年のドラフトへのエントリーを表明。そして前評判どおり、全体4位でフェニックス・サンズから指名を受けた。

 ボスニア生まれのクロアチア人フォワードは当時18歳だったが、育成を受けたスプリトで15歳の時にプロデビューしていたから、すでに3年近いプロキャリアがあった。クロアチアの強豪スプリトは、同国の英雄トニー・クーコッチ(元シカゴ・ブルズほか)を輩出したクラブでもあり、ベンダーもクーコッチに憧れ、彼のビデオを観て育ったとたびたびインタビューで語っている。

 ベンダーは、2015年のドラフトで同じく4位で指名されたラトビア人フォワード、クリスタプス・ポルジンギス(ダラス・マーベリックス)に似た、シューティング力のある7フッターと表されることも多かった。本人も共通点はあると話していたが、ドラフト直後、最近のプレーで参考にしている選手は?と聞かれた時には、ドレイモンド・グリーン(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)の名前を挙げている。
 
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