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NBA

大事件、躍進、別離……ピアースとウォーカーが紆余曲折を重ねて築いた確かな絆【NBAデュオ列伝|後編】〈DUNKSHOOT〉

出野哲也

2021.03.17

紆余曲折を経たピアース(左)とウォーカー(右)だが、その間には今も確かな絆があるようだ。(C)Getty Images

紆余曲折を経たピアース(左)とウォーカー(右)だが、その間には今も確かな絆があるようだ。(C)Getty Images

■大事件、躍進、別離…紆余曲折を重ねる2人の運命

 2年目の1999-2000シーズンも素晴らしい活躍をしたピアースを、突然の不幸が襲ったのは2000年9月25日未明のことだった。ボストン市内のナイトクラブで暴漢たちに襲撃され、首や背中、胸などを11回も刺されたのだ。一歩間違えれば死に至っていたはずの、戦慄すべき出来事だった。

「肺の手術をした後、医師に告げられたんだ。『もう少しで君は死ぬところだったんだよ』とね。とてもショックだった…」

 ウォーカーにとっても、ピアースの事件は他人事ではなかった。そのわずか2か月前、彼はシカゴのレストランで銃をつきつけられ、現金と5万ドルの高級腕時計を奪われていたのだ。すぐにウォーカーはピアースを見舞いに訪れ、お互いの身に起こったことを何度も話し合った。恐ろしい経験を共有したことで、2人の関係はさらに深まった。
 
 そんな衝撃的な出来事があったにもかかわらず、ピアースは強靭な精神力でこれを乗り越え、わずか1か月後の2000-01シーズン開幕から元気にコートに姿を現わす。ウォーカーとのコンビネーションも、ますます磨きがかかっていった。パス捌きに長けたウォーカーがオフェンスの起点になることで、ピアースは自在に得点を重ねていき、このシーズンは平均25.3点、ウォーカーも自己最高の23.4点をあげた。

 2002年には揃ってオールスターに出場。彼らに引っ張られる形でセルティックスは49勝し、7年ぶりに進出したプレーオフでも勢いは止まらなかった。1回戦でフィラデルフィア・セブンティシクサーズを5戦で下すと、カンファレンス準決勝ではデトロイト・ピストンズに4勝1敗と圧勝。ニュージャージー(現ブルックリン)・ネッツとのカンファレンス決勝でも第2、3戦に連勝し、特に第3戦は第3クォーター終了時につけられていた21点差をひっくり返す、プレーオフ史上最高の逆転劇を演じた。結局その後3連敗して2勝4敗で敗退したものの、“ザ・デュオ”の異名を奉られた2人の活躍は、古豪復活を印象づけるには十分だった。
 
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