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「この街のイメージに、自分はピッタリ」東京五輪中にニックスと契約したフランス代表戦士。加入の“決め手”となったのは?<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2021.10.23

フォーニエ(左)は新天地デビュー戦で、ニックス史上最多となる32得点を奪取。ランドル(右)とともに勝利の立役者となった。(C)Getty Images

 今オフ、ニューヨーク・ニックスに入団したフランス人スコアラーのエバン・フォーニエは、新天地デビュー戦でいきなりチーム記録を作る大活躍を披露した。

 開幕戦の相手は、彼が昨季途中に加入し、16試合プレーした古巣(平均13点、3.1アシスト、3.3リバウンド)ボストン・セルティックス。あのレブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)が「なんてワイルドなゲームだ! ガーデンは超すごかった! あの試合を見に行った奴は完全に燃焼しきって翌朝はベッドから出られないだろうな」とツイートしたほどの試合は、2度のオーバータイムにもつれ込む大接戦となった。

 この熱戦でフォーニエは、1度目のオーバータイムで3ポイントを3連続で沈め、9得点を積み上げて逆転に成功。2回目のオーバータイムでは、残り1分を切って133-134と1点を追う山場で、デリック・ローズのパスから3ポイントを決め、ニックスを再度リードに導き、138-134の勝利に大きく貢献した。

「あの一発は良かった。記憶に残るシュートになる」と振り返ったフォーニエは、3ポイント6本を含むキャリアハイタイの32得点。ニックスでのデビュー戦で30点超えを記録した史上初のプレーヤーとなった。
 
「エバンは、3ポイントを得意とし、スコアができ、コート上でやるべきことをすべてやってのける。それが彼という選手だ。キャリアを通じて、彼はすでに自分がそのようなプレーヤーであることを証明してきている」とトム・シボドー・ヘッドコーチ(HC)もパフォーマンスを評価。

 1度目の延長における連続3ポイントは、いずれもジュリアス・ランドルからのアシスト。この試合、チームハイの35得点、9アシスト、3ブロックを記録したエースも「エバンは、非常に高いゲームインテリジェンスを持つプレーヤーだ」と語っていた。

 フォーニエはニックス入団後、このインサイドの覇者との相性を探ることに力を尽くしていた。開幕前に「自分たちはすでにかなりお互いを理解し合えるようになっている」と語っていたフォーニエだが、それが実践で生かされたことに、2人とも手応えを得たことだろう。

 また、2年目のオビ・トッピンは2回目の延長、フォーニエがシュートを2本ミスしたあとで、山場のタイミングであえてスリーを選んだことについて、「彼は直前のプレーを引きずらずにあの3ポイントを決めてみせた。相当な精神的な力を持っている」と称賛している。

 フォーニエのニックス入りは、今夏の東京オリンピック期間中に決まった。フランス代表はグループリーグ初戦でアメリカを下し(83-76)、決勝戦でも彼らと競り合い(82-87)銀メダルを獲得。28歳のスウィングマンは、大会を通じてチームトップの平均18.7点をあげる活躍を見せた。
 
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「普段は朝起きたら試合のことを考えていた。しかし今回は…」