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大ケガを乗り越え躍動するジャマール・マレー。彼のルーツとなった“父の教え”と“ブルース・リー”<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2023.04.25

大ケガを乗り越え復活したマレー。今プレーオフで“バブルの再来”なるか。(C)Getty Images

 デンバー・ナゲッツとミネソタ・ティンバーウルブズが対戦するプレーオフ1回戦は、ナゲッツがホームコート2連戦できっちり2勝をあげた。

 1戦目は相手を80点に抑え109-80で快勝。2戦目は41得点を叩き出したアンソニー・エドワーズに活躍を許し、最終クォーターに逆転される接戦となったが、最後は122-113で逃げ切った。

 この2試合で、どちらもチームトップとなる24得点、40得点を叩き出したのは、ガードのジャマール・マレーだ。2戦目もスティールからの速攻ダンクにカットイン、そして勝利を決定づけた残り1分47秒の3ポイントと、マレーはコートの至る場所からバラエティに富んだオフェンスを披露した。

 "マレーのプレーオフ"というと、1回戦でユタ・ジャズのドノバン・ミッチェル(現クリーブランド・キャバリアーズ)と点取り合戦を演じた2019-20シーズンを記憶している人も多いことだろう。このシリーズのマレーは2度も50得点をマークし、ナゲッツのカンファレンス決勝進出に大きく貢献した。
 
 ところがその翌シーズン、4月のゴールデンステート・ウォリアーズ戦で左ヒザの十字靱帯断絶という大ケガを負い、昨季は全休となってしまった。よって彼にとっては、今回は3シーズンぶりのプレーオフ出場だ。

 久々のポストシーズンは「1戦目はアドレナリンが吹き出して興奮状態だった」というが、「2戦目はより落ち着いて自分のゲームができた」と、マレーは試合後の会見で感想を語っている。

 今季開幕戦から復帰したマレーは、平均20点、6.2アシストと、欠場前の2020-21シーズン(平均21.2点、4.8アシスト)と遜色ない数字を記録し、1月のインディアナ・ペイサーズ戦ではキャリア初のトリプルダブル(17得点、14アシスト、10リバウンド)も達成した。

 左足はバンデージで覆われ、2月には逆の足が炎症を起こして3週間ほど離脱したが、コート上で見せるパフォーマンスは、以前よりも逞しさを感じさせる。

 コロナ禍でのプレーオフで勝負強さを披露した後の2020-21シーズンは、5年目という成長期にあってコンスタントに2桁得点を叩き出す充実したシーズンだっただけに、4月の大ケガは彼にとっても大きなショックだった。
 
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故障中は毎日自分のハイライトプレーを観ていたマレー