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“日本のエース”から“サンズの名脇役”へ――渡邊雄太がW杯期間中に語った「代表とNBAでの違い」と「自身の長所」<DUNKSHOOT>

ダンクシュート編集部

2023.09.22

W杯では日本の柱として攻守に輝きを放った渡邊。役割がガラリと変わるNBAでも「良さを出せるのが長所」と語る。(C)Getty Images

 列島を歓喜に包んだワールドカップ(W杯)の激闘を終え、渡邊雄太の次なる戦いの場は、世界最高峰NBAへと舞台を移す。

 NBAでは日本人最長となる6シーズン目。さらに、今季は優勝候補の一角であるフェニックス・サンズの一員として、チャンピオンリングを目指す戦いが待っている。

 W杯では故障も抱えるなか、日本のエースとして獅子奮迅の働きを見せた渡邊。5試合を通じて平均出場時間は全選手中4位の35.0分を記録したほか、平均14.8点(全体31位タイ)、6.2リバウンド(同30位タイ)、1.80ブロック(同3位タイ)の成績を残し、パリ五輪出場権獲得の原動力となった。

 大会中はサンズの公式X(旧Twitter)も頻繁に渡邊の活躍を取り上げており、フェニックスの現地ファンも大きな期待を持って開幕から迎えてくれるに違いない。

 ただし、W杯で見せたような"主役級"の活躍を、今季NBAでも見られるかといったら、そうではないだろう。ブルックリン・ネッツで過ごした昨季はNBAで自己ベストのシーズンを送ったとはいえ、成績は平均16.0分、5.6点、2.4リバウンド、0.29ブロックと、一般的に見れば平凡な数字に過ぎなかった。
 
 NBAにおける渡邊の立ち位置は、あくまで"脇役"。それは本人も自覚しており、W杯期間中にはこんなことを言っていた。

「NBAに行ったら、もちろんこんな(日本代表のような)プレースタイルではない。とにかく泥臭いことをやって、ボールタッチがなくてもディフェンスを激しくやって、数少ないタッチで3ポイントを決めて、というのが僕の役割になってくる」

 特に今季のサンズは、昨季も共闘したケビン・デュラントをはじめ、デビン・ブッカー、ブラッドリー・ビールとリーグ屈指の攻撃的トリオを揃える。このメンバーのなかで渡邊が攻撃の軸となることはまずないだろう。

 それでも、背番号18がサンズで必要不可欠な存在になる可能性は十分にある。求められるのは、ルーズボールやディフェンスなど数字に残らないプレーでスター選手を支え、要所で流れを引き寄せるチームの潤滑油。日本代表では吉井裕鷹や川真田紘也らが担っていた役割だ。

 渡邊もW杯のベネズエラ戦後、彼らを差し「NBAでの僕を見ているみたいで、すごい誇らしく思う」と、その献身性を称えていた。さらに、代表とNBA、まったく異なる立場でも輝くことができる理由を、自身でこう分析している。

「僕のひとつの長所として、(置かれた)環境によって(自分の)良さを出せるというか、そこで必要な、求められていることをやれるというのがあると思う」

 日本代表での華々しい活躍から、NBAではいぶし銀の名脇役へ。新天地サンズでのパフォーマンスにも大いに期待したい。

構成●ダンクシュート編集部

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