即戦力センターのパトリック・ユーイング獲得を狙う各チームの八百長行為を阻止するため、1985年のドラフトで、NBAは史上初めてロッタリーシステムを導入した。結局、1位指名権はニックスの手に渡るのだが、いまだに、あのロッタリーは“不正操作されていた”との噂がある。その陰謀説を中心に、1985年ドラフトを振り返る。
■ユーイング獲得競争の過熱化でNBAはロッタリー導入を決断
8か月以上にも及ぶNBAのシーズンにおいて、試合以外のイベントで最も重要なもののひとつが、NBAドラフトである。なかでも、ドラフト当日にコミッショナーが1位指名選手の名前を読み上げる瞬間は、殊に注目度の高いシーンだろう。
そしてドラフトにはもうひとつ、手に汗を握る瞬間がある。ドラフト本番の1か月前に行なわれるロッタリーで、2位の封筒が開封され、チーム名が発表される瞬間――、すなわち1位指名権獲得チームが決定する時だ。
ロッタリーではこれまで数々の名場面が誕生したが、最もスリリングかつエキサイティングで、今なお語り継がれ、さらには物議を醸しているのが、初めてロッタリーシステムが導入された1985年のドラフトである。
1966年から1984年までは、両カンファレンス(1970年までは2ディビジョン制)の最下位チームがコインフリップ(コイントス)で争い、コインの裏面によって1位指名権獲得チームが決まるというシステムが採られていた。そのため、毎年のようにタンキング(タンク=試合にわざと負けること)が繰り返されていたが、弱小チームにアドバンテージを与えるため、黙認されていたというのが実情だった。
1984年、ヒューストン大のアキーム・オラジュワンを獲得しようと、多くのチームがタンク行為を働いた。なかでも躍起になっていたのが、地元大学のスター選手を是が非でも獲得したいロケッツ。レギュラーシーズンのラスト10試合を怒涛の1勝9敗で終え、クリッパーズを1敗上回りウエスト最下位の座を奪取。コインフリップにも勝ち、執念で1位指名権を獲得する。ロケッツはその前のシーズンも大差でリーグ最下位となり、カレッジ史上最高の選手と目されていたラルフ・サンプソンの獲得に成功している。
迎えた1985年ドラフトの目玉選手は、即戦力となりえるビッグマン、ジョージタウン大のパトリック・ユーイング。カレッジの4年間で3度NCAAトーナメントの決勝まで進み、1984年にはライバルだったオラジュワン擁するヒューストン大を下し、見事優勝を果たした。ロッタリーをTV中継したCBSのアナウンサー、パット・オブライアンによる次の言葉が、ユーイングに対する圧倒的な注目度と期待感を物語っている。
■ユーイング獲得競争の過熱化でNBAはロッタリー導入を決断
8か月以上にも及ぶNBAのシーズンにおいて、試合以外のイベントで最も重要なもののひとつが、NBAドラフトである。なかでも、ドラフト当日にコミッショナーが1位指名選手の名前を読み上げる瞬間は、殊に注目度の高いシーンだろう。
そしてドラフトにはもうひとつ、手に汗を握る瞬間がある。ドラフト本番の1か月前に行なわれるロッタリーで、2位の封筒が開封され、チーム名が発表される瞬間――、すなわち1位指名権獲得チームが決定する時だ。
ロッタリーではこれまで数々の名場面が誕生したが、最もスリリングかつエキサイティングで、今なお語り継がれ、さらには物議を醸しているのが、初めてロッタリーシステムが導入された1985年のドラフトである。
1966年から1984年までは、両カンファレンス(1970年までは2ディビジョン制)の最下位チームがコインフリップ(コイントス)で争い、コインの裏面によって1位指名権獲得チームが決まるというシステムが採られていた。そのため、毎年のようにタンキング(タンク=試合にわざと負けること)が繰り返されていたが、弱小チームにアドバンテージを与えるため、黙認されていたというのが実情だった。
1984年、ヒューストン大のアキーム・オラジュワンを獲得しようと、多くのチームがタンク行為を働いた。なかでも躍起になっていたのが、地元大学のスター選手を是が非でも獲得したいロケッツ。レギュラーシーズンのラスト10試合を怒涛の1勝9敗で終え、クリッパーズを1敗上回りウエスト最下位の座を奪取。コインフリップにも勝ち、執念で1位指名権を獲得する。ロケッツはその前のシーズンも大差でリーグ最下位となり、カレッジ史上最高の選手と目されていたラルフ・サンプソンの獲得に成功している。
迎えた1985年ドラフトの目玉選手は、即戦力となりえるビッグマン、ジョージタウン大のパトリック・ユーイング。カレッジの4年間で3度NCAAトーナメントの決勝まで進み、1984年にはライバルだったオラジュワン擁するヒューストン大を下し、見事優勝を果たした。ロッタリーをTV中継したCBSのアナウンサー、パット・オブライアンによる次の言葉が、ユーイングに対する圧倒的な注目度と期待感を物語っている。