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NBA

ユーイング登場でロッタリー制度が初導入された1985年――ニックスの1位指名権獲得はNBAの仕組んだ陰謀だった?【NBAドラフト史】

大井成義

2019.12.20

最も出世したのが13位指名のマローン。1985年組で唯一MVPに輝いており、97、99年の2度受賞している。(C)Getty Images

最も出世したのが13位指名のマローン。1985年組で唯一MVPに輝いており、97、99年の2度受賞している。(C)Getty Images

「我々は(ジョージ)マイカン時代、(ビル)ラッセル時代、カリーム(アブドゥル・ジャバー)時代を経て、今、ユーイング時代を迎えるでしょう!」。

 ユーイング獲得競争の過熱化を懸念したリーグは、タンク合戦にブレーキをかけるべく、ついにロッタリーシステムの導入に踏み切る。その陣頭指揮を執ったのが、前年NBAコミッショナーに就任したばかりの策士、デイビッド・スターンだった。

■ニックスの1位指名権獲得はNBAの仕組んだ陰謀だった?

 NBA史上初となる第1回ロッタリーは、1985年5月12日、マンハッタンのミッドタウンにあるウォルドーフ=アストリアで開催された。超名門ホテルの豪華なホールで行なわれた大々的なイベントを取り仕切ったのはもちろんスターン本人で、100人以上のメディアと100人のゲストを招き、プレーオフの試合のハーフタイムにTV中継を敢行した。

 ロッタリーはプレーオフ進出を逃した7つのチームで行なわれ、1位指名権獲得の確率は各チーム均等に与えられた。ハンドルが付いた直径1メートルほどの透明なプラスチックボールの中に、それぞれのチームロゴを収めたLPサイズ大の封筒が1枚ずつ中に投げ入れられる。その作業を行なったのは、NBAがロッタリーのイベント運営を委託した大手会計事務所、アーンスト&ウィニーのスタッフだった。
 
 NBAの警備最高責任者がボールを5回転半回し、封筒をざっくり撹拌した後、スターンがボールの蓋を開けて封筒を取り出す。最初に取り出された封筒のチームに、1位指名権が与えられる。壁に貼り付けられた1から7の数字の下に、順次封筒が置かれていった。

 7位から順に開封され、残るは2枚。最後に残ったのは、ペイサーズとニックスだった。スターンが2位の封筒を開封し、チーム名が読み上げられた瞬間のシーンは、今でも繰り返し放送される名シーンとなっている。1970年代ニックス黄金期の中心選手だったデイブ・デバッシャーGMが全身を震えさせ、興奮のあまり机を拳で叩いたのだった。1位指名権、そしてユーイングはニックスへ――。

 ところが、である。あれから30年以上経った今でも、あのロッタリーはスターンとNBA、そしてニックスの親会社により仕組まれ、不正操作されたものだったとの疑念を持たれている。それも、かなり信憑性の高い憶測として流布しているのだ。“アメリカのスポーツ陰謀説トップ10”的なストーリーでも頻繁に採り上げられ、全米で最も権威のあるスポーツ誌、『スポーツイラストレイテッド』の電子版でも、2015年5月に特集記事が掲載されたほどである。
 

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