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NBA

ウォール、カズンズらケンタッキー大から5人の1巡目指名が誕生した2010年。ただ最大の出世株は……【NBAドラフト史】

大井成義

2019.12.30

2010年組の出世頭は10位指名のジョージ。リーグを代表する2ウェイプレーヤーとして、広く認知されている。(C)Getty Images

2010年組の出世頭は10位指名のジョージ。リーグを代表する2ウェイプレーヤーとして、広く認知されている。(C)Getty Images

■確率5番目のウィザーズが1位指名権獲得に成功

 NBAドラフト本番の約1か月前に行なわれるNBAドラフトロッタリーは、抽選会と結果発表イベントの二部構成になっている。その流れをざっくり説明すると、こんな感じだ。

 結果発表イベントがライブで全国中継されるのは、プレーオフの試合のハーフタイム中。その1時間ほど前に、各チームの代表者が会議室やホールなどの密室に集められ、ピンポンボールマシンによる抽選会が行なわれる。情報の漏洩を防ぐため、携帯電話等の通信機器はあらかじめすべて提出し、封筒に入れて封印。トイレに行く際には、複数人の係員が付き添うほどの厳重さだ。

 最初に、抽選作業を行なうスタッフや見届け人が紹介され、細かいルール説明の後、1位指名権獲得チームの抽選が行なわれる。結果が出次第、引き続き2位と3位の抽選も行なわれ、最終順位が確定する。ここまでの所要時間は約15分程度。抽選作業終了後、チームロゴのカードが各順位の封筒に収納され、イベント会場に持ち運ばれる。そして試合のハーフタイム開始に合わせて中継番組がスタートし、そこで初めて結果が発表される。

 番組用のゴージャスなセットには、ひな壇状に各チームの机とイスが配置され、事前の抽選会に参加したチーム関係者とは違う人物が代表として席に着く。こちらはテレビに映る人たちであり、多くの場合オーナーや球団社長、GMなど、いわゆるエグゼクティブと呼ばれるお偉いさんが居並ぶ。その中に混じって、OBや現役選手が出席することも珍しくない。とりわけ若手選手が起用されるケースが多いようだ。
 
 2010年5月18日、ニュージャージー州セコーカスのNBA施設で開催されたドラフトロッタリーには、5人の現役若手選手が参加した。ロケッツからアーロン・ブルックス、ラプターズからデマー・デローザン、シクサーズからドリュー・ホリデー、キングスからは前シーズンの新人王タイリーク・エバンス、そしてペイサーズからはエースのダニー・グランジャー。

 生中継がスタートし、進行役のヘザー・コックスがそれぞれの出席者を紹介していくなか、グランジャーのところで質問を投げかけた。彼は真っ白なジャケットにブルーのシャツを着用している。「今晩のラッキーチャーム(アイテム)は、そのファッションだそうだけど?」。それに対するグランジャーの回答が面白い。

「そう、こいつは白の“ジェームズ・ボンド”ジャケットで、今日初めて袖を通した。(もし1位指名権を獲得できたら)シャツを引きちぎるよ。中にはジョン・ウォールのジャージーを身に付けているんだ」

 コックスが「スーパーマンが変身する時、シャツを引きちぎって脱ぐみたいに?」と返すと、「その通り」と得意満面のグランジャー。
 

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