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NBA

ロッタリー史上最大の番狂わせ年――20年の時を超えて明かされた電撃トレードの舞台裏【NBAドラフト史:1993年】

大井成義

2019.12.15

ペニーはシャックの推薦でマジックから3位指名を受け入団。2人のコンビはリーグを席巻したが、すぐに関係は悪化し1996年にシャックはチームを去った。(C)Getty Images

ペニーはシャックの推薦でマジックから3位指名を受け入団。2人のコンビはリーグを席巻したが、すぐに関係は悪化し1996年にシャックはチームを去った。(C)Getty Images

 大学で2年過ごした後、アーリーエントリーを宣言。206㎝、119㎏(どちらも当時)の体躯から繰り出される圧倒的なパワーに加え、抜群の運動能力とスキルを持つウェバーは、1993年NBAドラフトで1位指名の有力候補となる。

 もう1人の目玉候補は、身長229㎝でNBA歴代3位(当時)の長身選手となったショーン・ブラッドリー。敬虔なモルモン教徒のブラッドリーは、ブリガムヤング大で1年プレーした後オーストラリアへ渡り、宣教師として2年間活動する。帰国後は大学に戻らず、NBA入りを決意した。

 ブラッドリーは突出したサイズを持ちながら、大男にありがちな緩慢さはなく、それなりの走力や運動能力を持っていた。ブロックショットを最大の武器とし、大学時代に記録した1シーズン177ブロックと平均5.2ブロックは、当時の1年生レコード。1試合に14ブロックをマークしたこともあり、その数字は1986年に海軍士官学校のデイビッド・ロビンソンが打ち立てた歴代最多記録に並ぶものだった。
 
■最低確率だったマジックが奇跡的に1位指名権を獲得

 5月23日に行なわれたドラフトロッタリーで、1位指名権獲得率が最も高かったのは、レギュラーシーズンを11勝71敗とダントツ最下位で終えたマブズ。全66個のピンポンボールのうち、11個が割り振られた。だが、気まぐれなピンポンボールは、NBAロッタリー史上最大の番狂わせを演出する。

 イースト8位タイの41勝をあげ、プレーオフ進出をタイブレーク規定によって逃したマジックに与えられたピンポンボールは最少の1個で、1位になる確率は1.52%。そのマジックに、なんと1位指名権が転がり込むのだ。前年度のシャキール・オニール獲得に続き、2年連続でマジックが1位指名権を獲得するという、にわかに信じがたい事態が発生したのだった。

 2位指名権はシクサーズ、3位ウォリアーズ、4位マブズ、5位ウルブズに確定する。そして迎えた6月30日、マイケル・ジョーダン率いるブルズのNBA史上3チーム目となる3連覇達成の余韻が冷めやらぬなか、1993年NBAドラフトが開催された。会場となったピストンズの本拠地パレス・オブ・オーバーンヒルズには、地元出身選手ウェバーのドラフト1位指名という歴史的瞬間を目に焼き付けようと、1万3000人ものファンが詰めかけた。
 

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