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NBA

MVPに嫌われたスーパースター――。なぜコビー・ブライアントは1度しかMVPを受賞できなかったのか?

大井成義

2020.04.01

2005-06シーズンにコビーは、平均35点を突破する歴史的な得点ショーを披露。しかし、MVPは史上4人目の50-40-90(成功率でFG50%、3ポイント40%、FT90%以上)を達成したナッシュの手に。(C)Getty Images

2005-06シーズンにコビーは、平均35点を突破する歴史的な得点ショーを披露。しかし、MVPは史上4人目の50-40-90(成功率でFG50%、3ポイント40%、FT90%以上)を達成したナッシュの手に。(C)Getty Images

 スポーツ総合サイトの『Bleacher Report』が、“最も物議を醸しているNBA MVP 8選”という企画ページを掲載しており、その中に“2006年:スティーブ・ナッシュ/受賞すべきだった選手:コビー・ブライアント”という項目がある。ネットで過去のMVPの情報をリサーチしていると、同様に2005-06シーズンはコビーの年だったと主張する声が非常に多い。

 確かに、このシーズンのコビーはとてつもなく凄かった。当時歴代8位のシーズン平均35.4点に加え、歴代2位となる1試合81得点、さらには60点台を1回、50点台を4回、40点台を21回、30点台を29回記録するという、まさにスコアリングマシン状態。この時コビー27歳、オフェンスに関してはキャリアのピークにあったと言えよう。

 一方、MVPを獲得したナッシュの個人成績は、平均18.8点、10.5アシスト(リーグ1位)。10アシスト以上での“50-40-90クラブ”を、史上初めて達成している(フィールドゴール成功率51.2%、3ポイント成功率43.9%、フリースロー成功率92.1%。この後2008~10年にも3度達成)。
 
 ここで重要になってくるのが、チームの成績である。MVPは個人の成績を評価する賞ではなく、チームの勝利に対する選手の貢献度を評価する賞だ。当然勝利数も関係してくる。ところが、MVPには明文化されたオフィシャルの判定基準が、実は存在しない。

 ただ、過去のデータをじっくり検証すると一定の目安はあり、“カンファレンス3位以内”と“勝率6割以上(82試合で50勝以上に相当)”がそれにあたる。例外は過去64年間で、前者が3例、後者は6例だけ。近年の例で言えば、2016-17シーズンに史上2人目となるシーズン・トリプルダブルを達成したサンダーのラッセル・ウエストブルックが、カンファレンス6位/47勝ながら受賞している。

 それに照らし合わせると、このシーズンのレイカーズはカンファレンス6位/45勝と、目安を大きく下回っている。一方のサンズは3位/54勝となんとかクリア。エースのアマレ・スタッダマイアーをケガで1シーズン丸々欠いていたにもかかわらず、だ。
 
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