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NBA

MVPに嫌われたスーパースター――。なぜコビー・ブライアントは1度しかMVPを受賞できなかったのか?

大井成義

2020.04.01

“怪物”レブロンとキャリアが被っていたのも不運だった。この年下のライバルがいなければ、2009年はコビーが2年連続で受賞していたはずだ。(C)Getty Images

“怪物”レブロンとキャリアが被っていたのも不運だった。この年下のライバルがいなければ、2009年はコビーが2年連続で受賞していたはずだ。(C)Getty Images

 たしかに、コビーが2005-06シーズンに披露した凄まじい得点ショーは、そう滅多に拝めるものではない。これを、ウエストブルックのシーズン・トリプルダブルと同様に“歴史的快挙”として捉えるなら、コビーのこのシーズンを例外と認定し、MVPを主張する人がいるのも、わからないでもない。

 だがどうだろう。MVP受賞者ナッシュの獲得ポイントが924、コビーは483で4位。様々な要素を勘案すると、2005-06シーズンのMVPは、個人的にはナッシュで妥当だったと思うが、皆さんはどうお考えだろうか。

 チーム成績の面から言えば、唯一MVPを獲得した2007-08シーズン直後の2年間の方が、まだ可能性はあった。だが、受賞選手のチーム成績や個人スタッツを見る限り、ノーチャンスだったようだ。いかんせん相手が悪すぎた。
 
 両年とも、MVPを獲得したのはレブロン。彼がプライムタイムに突入した頃で、他の全選手が霞むほど素晴らしい活躍を見せている。MVPの獲得ポイントが2位とダブルスコアに近いというのも、納得の結果であろう(2008-09シーズンはレブロン:1172ポイント、2位コビー:698ポイント。2009-10シーズンはレブロン:1205ポイント、2位ケビン・デュラント:609ポイント)。

 コビーがデビューした1996年から2004年までは、シャキール・オニールというあまりに巨大な存在がチーム内にいて、コビーが純然たるエースかつチームリーダーになることができなかった。2005年から2007年まではサポーティングキャストを欠き、チームの状況と成績が悪すぎた。2008年にパウ・ガソルを獲得し、ようやくMVPを手にする。2009年から2013年までは、2011年の新鋭デリック・ローズを挟んで怪物レブロンが凄すぎた。2014年から引退する2016年までは、度重なる大ケガで如何ともしようがなかった。

 客観的に振り返ってみれば、自チームの状況や強力なライバルの出現といった、タイミングと巡り合わせの綾により、1回のMVPで順当だったような気がする。
 
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