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NBA

ウィザーズの育成コーチが語る、高校まで日本で過ごした八村塁の“課題”と“伸びしろ”とは?

秋山裕之

2020.06.08

 八村は開幕から先発パワーフォワードとして平均29.7分出場(チーム2位)、13.4点(同3位)、6.0リバウンド(同2位)と、チームの主力として活躍してきた。昨年12月中旬には鼠径部の負傷で約1か月半の離脱を余儀なくされたが、アドキンスACは八村のある点を高く評価する。

「ルイの素晴らしいところは、すごく頭が切れることだ。1つ1つ取り組もうとしているよ。でも情報量が多すぎて、混乱させるのは良くない。1週間前の試合でミスがあったとしても、ルイはしっかりと修正できるんだ。我々の指導としては技術面のおさらいが多いかな。フットワークやディフェンス時における手の使い方、ポジショニング、それと意識の持ち方についても指摘している。トランジションディフェンスで自分のマークマンだけに付くんじゃなくて、ボールがどこにあって、どこからシュートが打たれるのか、といったことを把握すること。相手チームのスキームとコンセプトを理解することとかね」

 3月には2試合連続でフィールドゴール成功ゼロ(0/14)と苦しんだ時期もあったが、アドキンスACは八村へ「いいイメージを取り戻させるために、活躍した試合の映像を見せた」と振り返る。同時に、メンタル面についても指導してきたという。
 
「NBA選手というのは、世界で最も優れたアスリートなんだ。でも選手が自信を失ってしまうこともある。だから厳しく言わないといけない時はそうするし、『お前はすごい選手なんだ、忘れるなよ』と褒めて伸ばすことだってある。でもルイがどんなにすごくても『相手選手もすごいんだ』と念を押すようにしている。このリーグでは毎試合、全力で臨まなければならない。でも誰だってそう出来ない時はある。だから毎試合を全力で戦うという意識が必要なんだ。そして我々が求めている“全力”がどれほどのものなのかを分かってもらうために、この過程が必要なんだ」

 八村が今季プレーした41試合の中には、ショットが好調な日もあれば、打っても打ってもボールがリングに嫌われる日、ファウルトラブルで思うようにプレーできない日もあった。それでも、アドキンスACやスコット・ブルックスHC(ヘッドコーチ)、あるいはブラッドリー・ビールといったチームメイトたちの助けを得て、克服してきた。

 フロリダ州オーランドで行なわれるレギュラーシーズン8試合の対戦相手は、いずれも勝率でウィザーズを上回るだけにタフな試合が続くだろう。そのなかで、八村が“今季の集大成”としてどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、大いに期待したい。

文●秋山裕之(フリーライター)

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