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NBA

6度目のNBAファイナルに挑む40歳、ヒートのハズレムが「ビッグブラザー」と呼ばれる所以

小川由紀子

2020.10.01

2003年からヒートに在籍し続け、3度の優勝を経験。今年2月にはフランス時代の恩人であるクラウダーの息子(右)とチームメイトになった。(C)Getty Images

2003年からヒートに在籍し続け、3度の優勝を経験。今年2月にはフランス時代の恩人であるクラウダーの息子(右)とチームメイトになった。(C)Getty Images

「マイアミは地元だ。このチームを選んだことは、人生でもっとも良い決断だった」。そう語った一方で、これは当時のハズレムにとって難しい選択でもあった。約37万ドルでヒートと1年契約を交わしたこの時、彼は別のチームからも誘いを受けていた。当時のディフェンディングチャンピオンだった、サンアントニオ・スパーズである。

 ティム・ダンカンやトニー・パーカー、マヌ・ジノビリらが築く黄金時代のまさに幕開け、といった絶好機。スパーズはヒートより先により高額のオファーを提示していたが、ヒートも興味を示していると知ると、さらに条件を上げてきた。

「このチームで勝てるのだろうか?それは叶わなかったとしても、しっかり稼げるのか?引退したあとも生活する余裕ができるくらい十分に稼げるのだろうか?」そんな不安はあったが、故郷愛に導かれて、彼はヒートと契約することを決めた。

 その結果、ドゥエイン・ウェイドやシャキール・オニール、レブロン、クリス・ボッシュなど、錚々たるメンバーとともにヒートの全盛期を盛り上げ、3度のタイトルを獲得。そして今、自身6度目のファイナルに挑むという、ドラフト落ちした当時からは想像もできかったキャリアを歩んでいる。
 
 40歳になった今も、フィジカルには自信がある。体脂肪は6%、スプリントダッシュでは20代の若手にも負けない。

「ポテトチップスをかじってコーラを飲みながら後輩にアドバイスしても誰も聞いてくれない。自分が取り組む様子、汗を流す姿を見せて学んでもらうことが大切なんだ」。大ベテランになっても、毎日の練習が試合に等しいと、常に高いインテンシティで臨んでいるとハズレムは語る。

 ヒートの後輩たちは、そんな彼を「ビッグブラザー」と慕っている。そして、運命の巡り合わせか、恩人であるコーリー・クラウダーの息子ジェイが、今年2月にヒートの一員となった。クラウダーSr.から教え受けたことを、今度はハズレムが、クラウダーJr.に授ける番になったのだ。
 
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