現役を引退するタイミングは、今回のファイナルの結果次第だとハズレムは語る。

「まだ自分にはできることがある。ロッカールームにいる価値がある。チームを勝利に導くために自分にやれることがあると感じられる。プレーしていようとベンチだろうと関係ない。自分がいる世界において、存在意義を見出せるかどうか。すべてにおいて重要なのは、そのことなんだ」
  　ストイックで知られる彼は、バブル滞在中は緊張感を失わないよう快適なベッドではなくソファで寝起きし、食事も部屋にストックして、外界との交流を最大限シャットアウトしているそうだ。フランスにいた時も、常に時計をアメリカ東海岸の時間にセットして、身体の感覚を失わないようにしていた、という逸話を聞いたことがある。

　自身が成功を手にしただけでなく、ぶれない信念とたゆまぬ努力があれば、たとえ挫折を経験しても夢を実現することは可能なのだという実例を作った点で、ユドニス・ハズレムの功績は偉大だ。そんな彼の熱い思いとともに、マイアミ・ヒートは頂上決戦の舞台に立っている。

文●小川由紀子

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