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NBA

コビーやダンカンにリングをもたらした“史上最高の名脇役”オリー。その胆力の源は…【NBA名脇役列伝・後編】<DUNKSHOOT>

出野哲也

2021.05.17

 2008年の引退後はTV解説者などを務め、現在はロサンゼルスでAAUチームのコーチをしている。現役時代の稼ぎを無計画に使い果たしてしまう者も多いなか、オリーは堅実な暮らしを送っており、資産は2000万ドルを下らないという。

「黒人のアスリートって、自分がどんなに金持ちかを見せびらかしたがるヤツが多いんだ。でも俺は4万ドルの高級時計も10ドルの安物も、時間を知るにはどっちも変わらないじゃないか、と思うタイプだからね」

 引退時点で、オリーはプレーオフの出場試合数(244試合)、ファイナルでの最多3ポイント成功数(53本)で史上1位だった。あまりにもプレーオフに強かったため「レギュラーシーズンは力を出し惜しみしているんじゃないか」と陰口を叩かれもしたが、プレーオフの通算成績は平均7.9点、フィールドゴール(FG)成功率42.6%、3ポイント成功率35.9%で、レギュラーシーズン通算の平均7.0点、FG成功率42.5%、3ポイント成功率34.1%とそれほど変わらない。にもかかわらず“プレーオフ・オリー”と呼ばれたのは、ビル・ウォルトン(元ポートランド・トレイルブレイザーズほか)が言ったように「最も才能に恵まれた選手ではないが、肝心な場面ではコート上で最高の選手になった」からだろう。
 
 現役時代の活躍を知らない世代からは、彼が7つのリングを持っているのは幸運に恵まれただけ、と見られることもあるようだ。「(バスケットボール)業界内で得られているリスペクトを、業界の外でも認めてもらいたいものだ」と嘆いたこともあった。

 だがコラムニストのビル・シモンズは「バークレーやマローンのキャリアと、オリーのキャリアのどちらを選ぶかと問われたら、私はオリーを取る」と断言しているし、『ESPN』のマーク・スタインは「デニス・ロッドマン(元ブルズほか)より信頼でき、マイケル・クーパー(元レイカーズ)より多才で、ボビー・ジョーンズ(元シクサーズほか)やヴィニー・ジョンソン(元ピストンズほか)より生産的」なオリーを「史上最高のロールプレーヤー」と評している。“名脇役”という言葉がこれほど似合う選手もほかにいないだろう。

文●出野哲也

※『ダンクシュート』2015年8月号掲載原稿に加筆・修正。

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