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NBA

“ネクスト・ヤニス”ジョナサン・クミンガ。靴すら買えなかった少年が“未来のMVP”と称されるまで<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2022.01.16

 平均15.8点、7.2リバウンドを記録したイグナイト時代は、フリーの味方にパスすべき場面でシュートを選択するといった状況判断や、シューティングの課題もあぶり出された。しかし高校時代に7kgの筋肉増量をしたという203cm、95kgの立派な体躯、そして「ちょっと短いか!?」というジャンプでもリムにボールをねじ込める213cmのウイングスパン、さらにはクイックネスといったアスレチック能力など、今後の成長を期待させる素質を持っている。

 なによりアフリカのコンゴで生まれ育ち、14歳でアメリカに渡ってきた彼が、そこからわずか5年でNBAデビューに至ったというのも、高いポテンシャルを象徴している。

 両親がバスケットボールをしていたため物心ついた時からボールに触れていて「正確には何歳からプレーを始めたかはわからない」とインタビューで発言したクミンガ。内戦下にあり、まともなコートもない状況で、足場の悪い空き地でプレーしていると、成長期のころは2週間で靴に穴が空いたが、すぐに買い換えることは叶わず、そのままプレーし続けていたという。

 ならば“きちんとした設備で、シューズを履いて練習していたらどれだけ伸びていたのか?”と想像したくなるが、フィリピンではスラム街出身の子どもたちが、スポーツ選手としてメキメキ才能を発揮しているという話を聞いたことがある。幼い頃から、凸凹が多く、曲がりくねった細い路地を裸足で駆け回っていたことで、抜群のボデイバランスやアジリティ、瞬発力を自然と身につけているのだという。
 
 彼にアメリカへの道を開いたのは、同じくバスケットボールをしていた4歳上の兄だ。その兄、ジョエル・ンタンブエは現在、フィラデルフィア・セブンティシクサーズの下部組織、デラウェア・ブルーコートでセンターを務めている。また、先月サクラメント・キングスと10日間契約を結んでいたエマニュエル・ムディエイは従兄弟だそうで、彼ら2人はクミンガの頼れる相談役だ。

 しかもチーム内には、ステフィン・カリーやドレイモンド・グリーン、クレイ・トンプソンといった最高の先輩プレーヤーたちがいる。

「自分が名を上げて、故郷のバスケットボール発展の役に立ちたい」

 明確な目標を掲げるルーキーは数年後、カーHCが感じたように、ヤニス級の選手になっているだろうか。

文●小川由紀子

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