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NBA

コビー・ブライアントが最後まで貫いた“人を思いやる心”。事故当日にシャックの息子と一番の親友に送ったメッセージとは【NBA秘話|後編】<DUNKSHOOT>

大井成義

2022.02.18

競争心旺盛なコビーは、選手に対しては本当の意味で心を開くことはできなかった。そんな彼が、唯一気を許せる相手がペリンカだった。(C) Getty Images

競争心旺盛なコビーは、選手に対しては本当の意味で心を開くことはできなかった。そんな彼が、唯一気を許せる相手がペリンカだった。(C) Getty Images

<ロブ・ペリンカ>
■一番の親友だった男に送った最後の頼みごとの内容とは?


 ロブ・ペリンカ、51歳。身長198cm、ミシガン大の控えガードとして、1989年にNCAAトーナメントで優勝し、3、4年時にはあのファブ・ファイブのチームで準優勝した経験を持つ。卒業後はロースクールに学び、弁護士資格を取得。数年間の弁護士活動を経てエージェント業に着手し、敏腕代理人として、ドラフト時のアンドレ・イグダーラやジェームズ・ハーデンなど、数十人の有望選手を手掛けた。

 だがなんと言っても、最大の目玉選手はコビーだった。20年間に渡り代理人を務め、コビーが広告塔の役目を担ってくれたおかげで、多くの一流選手が集まってきた。2017年、NBAのエグゼクティブに転身。名門レイカーズのバスケットボール部門副社長兼GMに就任し、現在に至っている。

 そのペリンカが、コビーにとって一番の親友だった。ジアナの名付け親でもある。2020年2月24日、ステイプルズ・センターで開催されたコビーの追悼式で、総勢7人のゲストがスピーチを託され、ペリンカも登壇。事故当日のエピソードが語られた。
 
 その日の朝、ペリンカは家族と教会にいた。ジーンズのポケットに突っ込んでいたスマホのバイブ機能がテキストの着信を告げると、教会内にいたこともあり無視しようと思ったが、虫の知らせでポケットから取り出して画面を覗いた。コビーからだった。彼とは過去20年間、毎日のようにテキストのやり取りをしていたので、日曜朝の着信も別段珍しいことではなかった。

 いったんスマホをポケットにしまい、説教に耳を傾けたものの、どうしても気になったペリンカは再び取り出しテキストを開いた。コビーの用件は「南カリフォルニアで野球の代理人をしている知り合いはいないか?」というものだった。特に急用ではなさそうで、返事は後回しにしようかとも思ったが、やはり何か感じるところがあり、取り急ぎ返信した。「レイカーズの試合で野球の代理人と会ったことがある。彼なら喜んで君の力になってくれるだろう」。

 午前9時30分過ぎ、コビーから返信があった。友人の娘さんが、インターンシップを受け入れてくれる野球の代理人を探しており、彼女の性格や知性、仕事への取り組み方をよく知っているコビーは、何とか手助けしたいとのこと。ペリンカは、自分でもプランを練って動いてみると返信。その数分後、コビーとジジを含む9人は、帰らぬ人となる。
 
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