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NBA

【NBA秘話】“幻”に終わったジョーダンvsマジックの1オン1対決。歴史的ビッグイベントが中止になった理由とは…〈DUNKSHOOT〉

大井成義

2021.03.19

1995年に、シャック(左)とオラジュワン(右)の1オン1対決が開催寸前までこぎつけたが、突如オラジュワンが出場を辞退し中止となった。(C)Getty Images

1995年に、シャック(左)とオラジュワン(右)の1オン1対決が開催寸前までこぎつけたが、突如オラジュワンが出場を辞退し中止となった。(C)Getty Images

 NBAファイナルという檜舞台では敗北を喫したシャックだったが、オラジュワン個人に対しては、決して引けを取っているとは思わなかった。また、オールスターゲームのウォーミングアップ時、ジョーダンと遊びで1オン1をプレーし、たまたま勝ったことも自信になっており、1オン1ならオラジュワンに負けないと考えていた。

 そんな2人の対決を一大イベントにしようと考えたのが、以前2人のエージェントを務めていたレオナルド・アーマトという人物。スポンサーにタコベル(テックス・メックス料理の大手ファーストフードチェーン)を担ぎ出し、さらにはイベントをプロモートしたのがなんとトランプ前大統領。会場はドクターJvsジャバーの時と同じく、アトランティックシティのタージ・マハールに決まった。

 NBAファイナルが終わってから1か月後、タコベルは大々的にキャンペーンを開始する。イベントの正式名称は“タコベル・1オン1・チャンピオンシップ”。9月30日の夜9時から開始されるゲームはペイパービューでの配信も予定され、視聴料は19.95ドルに設定された。
 
 勝者には賞金100万ドルが授与され、前座試合にはケビン・ガーネットvsジョー・スミスもしくはニック・ヴァン・エクセルvsケニー・アンダーソンの一戦が組み込まれることになった。ゲームの形式は10ラウンド制。ショットクロック12秒。詳細は不明だが最高6ポイントのプレーも設定されていたという。タコベルはイベントの予告CMを大量に流し、スパイク・リー監督が手掛けたそのCMは、現在『YouTube』で観ることができる。世紀のイベントに向けて、準備は万端だった。

 ところが、イベント前日にオラジュワンが急遽出場辞退を申し出る。理由は“トレーニング中に生じた仙腸関節(骨盤にある関節)の痛み”。緊急事態を脱すべく、主催者側はあらゆる手を尽くした。代役にアロンゾ・モーニングや、苦肉の策としてマグジー・ボーグス(身長160cm)とスパッド・ウェッブ(170cm)のコンビとシャックを戦わせるという案も浮上。

 だが、オラジュワンのキャンセルはあまりにギリギリすぎた。代役の手配がつかず、主催側はイベントの中止という苦渋の選択を採らざるを得なかった。数百万ドルの返金が生じたという。

 CMを『YouTube』にアップしているwasteoflife405というユーチューバーは、掲載動画の説明文にこう書いている。

「この件(オラジュワンのドタキャン)について、私はデイビッド・スターン(当時のNBAコミッショナー)が関与していると想像する」。
 
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