イタリアの今夏の移籍市場は９月１日で幕を閉じたが、最も活発な動きを見せたのがミランだ。多くの現地メディアが「革命」と表現した通り、セリエAで８位に終わって欧州カップ戦出場権すら得られないという“大失敗”のシーズンを経て、堕ちた名門はチームの大幅な改造を敢行したのだった。

　長く不在だったスポーツディレクターにイグリ・ターレを迎えてチーム強化に乗り出すと、まずセルジオ・コンセイソンを解任して空位となっていた監督の座にマッシミリアーノ・アッレーグリを復帰させ、ここから戦力の補強とともに、余剰戦力の整理を進めていった。結果、実に27人の選手が完全移籍やレンタルでチームを去り、以下の10人の選手が新たにロッソネーロのユニホームを身に纏う。

GK ピエトロ・テッラッチャーノ（←フィオレンティーナ）
DF ペルビス・エストゥピニャン（←ブライトン）
DF コーニ・デ・ヴィンテル（←ジェノア）
DF ザカリー・アテカメ（←ヤングボーイズ）
DF ダビド・オドグ（←ヴォルフスブルク）
MF サムエレ・リッチ（←トリノ）
MF ルカ・モドリッチ（←レアル・マドリー）
MF アルドン・ヤシャリ（←クラブ・ブルージュ）
MF アドリアン・ラビオ（←マルセイユ）
FW クリストファー・エンクンク（←チェルシー）
  　今夏のミランの「メルカート」について、イタリアのスポーツ紙『La Gazzetta dello Sport』は10点満点の採点で「７」と比較的高めの評価を下した。寸評には「エンクンク。彼はあらゆることができるが、典型的な９番ではない。一方、中盤は豊富な選択肢が揃った。技巧派、フィジカル型、攻撃的に飛び出すタイプまでいて、ティジャニ・ラインデルス（→マンチェスター・シティ）の退団を補っている。モドリッチは引退間近には見えず、ラビオは探し求めていたアッレーグリ監督好みの選手であり、主役にもなり得る存在だ」と綴っている。

　また、中盤の陣容が豊富になった点は別記事でも言及し、「いまやそのクオリティーは大幅に向上し、国際経験も豊富になった」と評し、「選択肢が増えたのはいいこと」と述べている。

「それぞれに特有の資質と能力があり、誰もが幅広いプレーに適応力を持っている。中盤には多くの人材がいるだけでなく、数多くの形が存在するのだ。ヤシャリにはもう少し時間が必要だが、ラビオはすぐにでも起用可能だ。セリエAをよく知り、アッレーグリの戦術を熟知しているからだ。もし守備が手薄になれば、中盤が助けに回れる。もし攻撃が停滞すれば、新たなゴールはここから確実に生まれるだろう」