スペイン代表が異次元の強さを見せつけた。北中米ワールドカップ欧州予選において、敵地でブルガリアとトルコを3-0、6-0で撃破。なかでもスペインメディアの間で「地獄」と形容されるアウェーのトルコ戦は最難関と目されていたが、終わってみれば衝撃的な圧勝劇だった。
ヤングパワーの台頭でEUROを制したのが約1年前。成長過程のチームはその後、順調に進化を続けている。トルコ戦後には、『RADIO MARCA」の人気番組で、「スペインは次回W杯の優勝候補筆頭と言えるか」という議論が噴出。番組MCのミゲル・キンターナ氏が「ディフェンディングチャンピオンのアルゼンチンと横一列に並んでいる」と語ると、この意見に反論する識者はいなかった。
9月の2試合で最も輝いたのは、ペドリだった。ファビアン・ルイスが負傷で欠場したため、いつもより低い位置にポジションを取ったが、これが見事に適応した。スペイン紙『EL PAIS』は「ペドリのタクトに合わせ、チームが美しい音色を奏でた。華麗なボールコントロールと派手なゴールショーによる見事な“演奏会”だった」と、バルセロナの司令塔をオーケストラの指揮者に例えて、評価した。
周りのサポートもまた素晴らしかった。代表6試合目にして瞬く間にビルドアップの要となったCBディーン・ハイセンが後方から正確なパスを配給し、マルティン・スビメンディも攻守に気の利いた動きで中盤を支えた。久保建英が「このレベルのビルドアップをできるチームが、W杯にどれほどあるか」と語っていたように、スペインの展開力は群を抜いている。かつてセビージャなどで活躍した解説者のハビエル・カスケロ氏は、「マンツーマンで対応するしかない」と分析している。
攻撃陣も多彩だ。空中戦に強く、アーセナルでCFを経験してからより一層得点力に磨きをかけたミケル・メリーノが、トルコ戦ではハットトリックの活躍。実質セカンドトップのように振る舞いながら、前戦で身体を張った。ミケル・オジャルサバルも神出鬼没のポジショニングと高い技量を見せてゴールとアシストを重ねた。EUROではラミン・ヤマルとニコ・ウィリアムスの両翼の突破力を前面に押し出して戴冠を手にしたが、ビルドアップの質が高まり、中央からの崩しのパターンが増したスペインは、その最大の武器をより活かせるチームへと進化している。
フリージャーナリストのアドリアン・ブランコ氏は「全ポジションに高い技術を持った選手を揃え、結束力も成熟度も申し分ない。W杯が明日にも始まってほしいくらいだ。文字通り、最高のチームだ」と絶賛。『AS』紙副編集長のハビエル・シジェス氏も「中盤のタレントは世界随一。スペインのようにプレーできるチームは他に存在しないし、ヤマルを擁するチームも他にない」と強調する。
驚くべきは、トルコ戦のスペクタクルは、ファビアンに加えて、故障明けのロドリとダニエル・カルバハルもスタメンから外れた中でのものだった点だ。また、ダニ・オルモ、パウ・クバルシ、フェラン・トーレス、フェルミン・ロペスといった実力者もベンチに控えている。
スペインを来年のW杯の優勝候補筆頭に挙げた冒頭の識者たちは、「現時点で」という枕詞を付けることを忘れなかった。これは負傷やコンディション不良を懸念してのことだが、裏を返せば、W杯の本番まであと9か月も、この若いチームには成長できる時間が残されている。
スペインは、2010年南アフリカ大会以来2度目となる世界制覇を、現実的な目標として捉え始めている。
文●下村正幸
【動画】スペインが怒涛のゴールラッシュ! トルコに6-0大勝
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9月の2試合で最も輝いたのは、ペドリだった。ファビアン・ルイスが負傷で欠場したため、いつもより低い位置にポジションを取ったが、これが見事に適応した。スペイン紙『EL PAIS』は「ペドリのタクトに合わせ、チームが美しい音色を奏でた。華麗なボールコントロールと派手なゴールショーによる見事な“演奏会”だった」と、バルセロナの司令塔をオーケストラの指揮者に例えて、評価した。
周りのサポートもまた素晴らしかった。代表6試合目にして瞬く間にビルドアップの要となったCBディーン・ハイセンが後方から正確なパスを配給し、マルティン・スビメンディも攻守に気の利いた動きで中盤を支えた。久保建英が「このレベルのビルドアップをできるチームが、W杯にどれほどあるか」と語っていたように、スペインの展開力は群を抜いている。かつてセビージャなどで活躍した解説者のハビエル・カスケロ氏は、「マンツーマンで対応するしかない」と分析している。
攻撃陣も多彩だ。空中戦に強く、アーセナルでCFを経験してからより一層得点力に磨きをかけたミケル・メリーノが、トルコ戦ではハットトリックの活躍。実質セカンドトップのように振る舞いながら、前戦で身体を張った。ミケル・オジャルサバルも神出鬼没のポジショニングと高い技量を見せてゴールとアシストを重ねた。EUROではラミン・ヤマルとニコ・ウィリアムスの両翼の突破力を前面に押し出して戴冠を手にしたが、ビルドアップの質が高まり、中央からの崩しのパターンが増したスペインは、その最大の武器をより活かせるチームへと進化している。
フリージャーナリストのアドリアン・ブランコ氏は「全ポジションに高い技術を持った選手を揃え、結束力も成熟度も申し分ない。W杯が明日にも始まってほしいくらいだ。文字通り、最高のチームだ」と絶賛。『AS』紙副編集長のハビエル・シジェス氏も「中盤のタレントは世界随一。スペインのようにプレーできるチームは他に存在しないし、ヤマルを擁するチームも他にない」と強調する。
驚くべきは、トルコ戦のスペクタクルは、ファビアンに加えて、故障明けのロドリとダニエル・カルバハルもスタメンから外れた中でのものだった点だ。また、ダニ・オルモ、パウ・クバルシ、フェラン・トーレス、フェルミン・ロペスといった実力者もベンチに控えている。
スペインを来年のW杯の優勝候補筆頭に挙げた冒頭の識者たちは、「現時点で」という枕詞を付けることを忘れなかった。これは負傷やコンディション不良を懸念してのことだが、裏を返せば、W杯の本番まであと9か月も、この若いチームには成長できる時間が残されている。
スペインは、2010年南アフリカ大会以来2度目となる世界制覇を、現実的な目標として捉え始めている。
文●下村正幸
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