スイスのヌシャテルに拠点を置くCIES（国際スポーツ研究センター）のサッカー統計に特化した研究グループ「CIES Football Observatory」が、プレミアリーグ、ラ・リーガ、ブンデスリーガ、セリエA、リーグ・アンの欧州５大リーグを含む、29か国のトップリーグに関して、今季のリーグ王者を予想している。

　同グループの公式サイトによれば、これは「スポーツ関連の変数（ドイツの分析会社『Impect』による敵陣で相手の守備をどれだけパスで突破したかを測るデータ）」、「経済的な変数（出場選手の獲得に投じられた移籍金）」、「人口統計的な変数（過去１年間の選手の出場時間およびその試合の競技レベル）」によって算出した確率である。

　まず、「世界最高峰リーグ」の誉れ高きプレミアリーグでは、昨季の王者であるリバプールが「28.9％」でトップ。ピッチ上でのテクニカルな面に加え、４億ポンド以上を費やしたド派手な戦力補強を考えれば、当然の結果と思われる。なお、ランキングは以下の通り。

１位：リバプール 28.9％
２位：アーセナル 18.8％
３位：チェルシー 16.2％
４位：マンチェスター・シティ 14.4％
５位：ノッティンガム・フォレスト 7.9％
６位：ニューカッスル・ユナイテッド 5.8％
７位：アストン・ビラ 3.2％
８位：マンチェスター・ユナイテッド 2.6％
※その他の12クラブはいずれも「1.0％以下」

　これを報じたスペインのスポーツ紙『MARCA』は、「プレミアリーグは非常に拮抗しており、優勝するのがいかに難しいかを示している」と見解を示したが、それは自国リーグ（ラ・リーガ）が、トップに立ったレアル・マドリー（40.6％）と、これを追う２位のバルセロナ（29.6％）、３位のアトレティコ・マドリー（22.1％）の差が、大きく開いたからだろう。

『MARCA』はこの結果について、「近年、ラ・リーガ優勝は非常に困難な挑戦となっている。昨季はバルサが圧倒したものの、CIESはシャビ・アロンソ監督率いる新生マドリーが主力選手を安定させ、リーグ制覇を確実にすると考えているようだ。一方、アトレティコは３位に入ると予想しており、開幕時の不調から立ち直り、今後優勝争いに加わる可能性があると見ている」と綴った。
  　続いてセリエAは、１位のインテル（25.6％）に、２位ユベントス（18.2％）、３位ナポリ（17.4％）と予想。「三つ巴」でのスクデット争いが展開されるとした。ここに「13.3％」で４位のローマ、「11.3％」で５位のミランがどれだけ絡めるかが興味深い。なお昨季３位フィニッシュのアタランタは、「5.7％」で６位に止まっている。

　ちなみに、29リーグにおいて最も高い優勝確率となったのは、セルビア・リーグのツルベナ・ズベズダ（レッドスター）の「76.2％」。リーグ８連覇中で、選手補強でライバルたちの４～５倍の資金を投下できる名門ならではの数字と言えるだろう。そして、彼らに次いで「73.0％」という高い数値を叩き出したのが、リーグ・アン王者のパリ・サンジェルマンである。

　カタール資本で無尽蔵な財政力を誇り、昨季はルイス・エンリケ監督の下で好パフォーマンスを持続しながら、欧州のトップクラブを次々に撃破したパリSG。よほどのアクシデントでもない限り、リーグ・アン５連覇を果たすのは確実だというのが大方の見方だ。CIESのランキングでも、２位のモナコ（7.7％）、３位のマルセイユ（5.9％）らライバルを大きく引き離している。

　そして「61.4％」と算出されたバイエルンもまた、ブンデスリーガにおいて抜きんでている。２位以下はドルトムント（8.8％）、レバークーゼン（8.3％）、シュツットガルト（6.9％）、RBライプツィヒ（5.3％）と続く。

　逆に、非常に僅差となっているのがサウジ・プロリーグで、アル・ナスル（33.2％）、アル・ヒラル（27.0 ％）、アル・アハリ（16.4％）、アル・イテハド（12.0％）となっており、クリティアーノ・ロナウドが今季、中東で初めてのメジャータイトルを獲得できる確証は全くない。またエールディビジでは、フェイエノールト（28.6％）がPSV（25.6％）を抑えてトップ。アヤックスは「13.8％」の３位で、４シーズンぶりのリーグ制覇は厳しいと見られている。

構成●THE DIGEST編集部

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