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ネイマールは「悪い奴」ではなく「超世間知らず」。旧知の記者が語る実像とは?

ワールドサッカーダイジェスト編集部

2020.02.29

数々の問題を起こすネイマール。その実像を旧知の記者が語る。(C)Getty Images

 ネイマール――。

 この名前を聞いて、皆さんは何を想像するだろうか。「問題児」、「喧嘩っ早い」、「女性問題」、「ネイマール・チャレンジ(大袈裟なファウルのアピール)」……。いずれにしても、ポジティブなイメージではないだろう。

 ただし、ネイマールは決して悪い人間ではない。素顔の彼は、純真無垢で永遠の少年のような人間だ。もっとも、「純真無垢で永遠の少年」というその素顔が問題ではあるのだが。

 私が初めてネイマールと出会ったのは2009年。それは取材でだった。サントスでプレーする、18歳の若者に興味を引かれたのは、そこに希望を見たからだ。我々ブラジル人にしかできないサッカー、ブラジル人が理想として思い描くプレーを体現できる選手だと、そう感じたからである。

 18歳のネイマールは、まるで少年のようにサッカーを楽しんでいた。責任も、プレッシャーも、不安もない。ただ純粋にプレーを楽しむそんなネイマールを見るのは、最高の喜びだった。
 
 ちょうどその頃、私はとある英国企業の依頼を受け、同社のイメージキャラクターとなる選手を探していた。若く、将来有望で、現代的な選手というのが彼らの条件だった。ネイマールしかいないとそう思った私は、父親のネイマール・シニアにこの話を持ち込み、首尾よく2年契約が結ばれた。

 この件で週に一度はネイマールと話をするようになった。ピッチの外ではシャイだった。でも、ひとたびピッチに立てば水を得た魚のように躍動し、次から次へと魔法のようなプレーを繰り出した。ネイマールは努力を怠らない選手だった。

 この頃の私たちはかなり親密だった。『WhatsApp』(メッセージアプリ)で連絡を取り合い、会って食事もした。11年のクラブワールドカップで訪日した際は、横浜のホテルの近くの小さな寿司屋で、一緒に寿司をつまんだ。

 余談になるが、ネイマールは日本食が大好きだ。店の奢りだといって店主が酒を振る舞ってくれたが、ネイマールはそれには一切口をつけなかった。