日本の大学スポーツはいま変革期を迎えているのかもしれない。
22年3月、中央大学ではサッカー部とバスケットボール部が一般社団法人を立ち上げた。法人化の目的は学生アスリートに対して、これまで以上に金銭的サポートを充実させるためだとされている。
中央大学商学部教授で、サッカー部やバスケットボール部などで役員を務める渡辺岳夫は法人化へ歩みだしたきっかけについて次のように話していた。
渡辺「練習で使用しているバスケットゴールが壊れてしまったんですね。新たに購入するにも700万円と非常に高額なためになかなか了承が下りない。仕方がなく大学体育で使用するコートで練習せざるをえなかったのですが、ここのバスケットゴールは正規規定より3㎝低いんです」
それこそミリ単位の感覚のずれが勝敗の行方を決定するほど繊細さが要求されるバスケットボールというスポーツにおけるこの差は極めて大きい。また体育館のような板張りではなく、そのコートはコンクリート仕様。そのため膝や腰、足首に負傷を追う選手が続出してしまったという。
渡辺「21年のインカレで中大バスケ部はベスト8になってるんですけども、負けた相手が優勝した東海大学さんだったんです。その試合はすごい接戦だっただけに、最終的に優勝した東海にそこまで素晴らしい試合をしている学生を見て、我々大人のスタッフは『今までやるべきことをやってきてなかったんじゃないか』って非常に反省しました。
大学本体の動きを待ってるだけじゃなくて、我々現場のスタッフが学生部員たちのために、練習環境などを含むいろいろな環境を良くするためにできることをやるべきじゃないかっていうふうに決心したんです」
大学スポーツのあり方とはどうあるべきなのか。なぜ大学がスポーツ活動をサポートすべきなのか。
奮闘する学生たちを前に渡辺らスタッフは本質的な問題と向き合った。ここが明確に見えてこないと、どんな取り組みであっても絵空事で終わってしまったり、自分達の私利私欲のためと思われてしまう。
渡辺「そうなんです。大会で勝つというのが最大の目標じゃないんです。大学でプレーするアスリートにその先のキャリアを見据えたものを提供できるようになってほしいと願っています。彼ら・彼女らが大学に来ることによって、セカンドキャリアがより充実し、より選択肢の広いものになったら、それは非常に魅力的じゃないですか」
高校時代までそれぞれ一線級で戦っていた選手たちが将来的にプロへの可能性を残しながら、さらにアスリートとして成長できるような整理された環境を用意しつつ、大学で勉学にもしっかり励むようにサポートをする。それはスポーツを志す者を増やすことにも繋がるのかもしれない。引退後のセカンドキャリアに対する確かなアプローチをすることができたら、高校卒業で即引退かどうかを決断しなければならないなんてことはなくなる。
渡辺「彼らに対して可能な限り質の高いレベルでスポーツに携われる機会を大学スポーツ界が作ることができたら、日本全体のスポーツの強さだけではなく、スポーツ文化を醸成していくことにも繋がるはずです。それが僕らの大学スポーツの一つの意義だと思います」
22年3月、中央大学ではサッカー部とバスケットボール部が一般社団法人を立ち上げた。法人化の目的は学生アスリートに対して、これまで以上に金銭的サポートを充実させるためだとされている。
中央大学商学部教授で、サッカー部やバスケットボール部などで役員を務める渡辺岳夫は法人化へ歩みだしたきっかけについて次のように話していた。
渡辺「練習で使用しているバスケットゴールが壊れてしまったんですね。新たに購入するにも700万円と非常に高額なためになかなか了承が下りない。仕方がなく大学体育で使用するコートで練習せざるをえなかったのですが、ここのバスケットゴールは正規規定より3㎝低いんです」
それこそミリ単位の感覚のずれが勝敗の行方を決定するほど繊細さが要求されるバスケットボールというスポーツにおけるこの差は極めて大きい。また体育館のような板張りではなく、そのコートはコンクリート仕様。そのため膝や腰、足首に負傷を追う選手が続出してしまったという。
渡辺「21年のインカレで中大バスケ部はベスト8になってるんですけども、負けた相手が優勝した東海大学さんだったんです。その試合はすごい接戦だっただけに、最終的に優勝した東海にそこまで素晴らしい試合をしている学生を見て、我々大人のスタッフは『今までやるべきことをやってきてなかったんじゃないか』って非常に反省しました。
大学本体の動きを待ってるだけじゃなくて、我々現場のスタッフが学生部員たちのために、練習環境などを含むいろいろな環境を良くするためにできることをやるべきじゃないかっていうふうに決心したんです」
大学スポーツのあり方とはどうあるべきなのか。なぜ大学がスポーツ活動をサポートすべきなのか。
奮闘する学生たちを前に渡辺らスタッフは本質的な問題と向き合った。ここが明確に見えてこないと、どんな取り組みであっても絵空事で終わってしまったり、自分達の私利私欲のためと思われてしまう。
渡辺「そうなんです。大会で勝つというのが最大の目標じゃないんです。大学でプレーするアスリートにその先のキャリアを見据えたものを提供できるようになってほしいと願っています。彼ら・彼女らが大学に来ることによって、セカンドキャリアがより充実し、より選択肢の広いものになったら、それは非常に魅力的じゃないですか」
高校時代までそれぞれ一線級で戦っていた選手たちが将来的にプロへの可能性を残しながら、さらにアスリートとして成長できるような整理された環境を用意しつつ、大学で勉学にもしっかり励むようにサポートをする。それはスポーツを志す者を増やすことにも繋がるのかもしれない。引退後のセカンドキャリアに対する確かなアプローチをすることができたら、高校卒業で即引退かどうかを決断しなければならないなんてことはなくなる。
渡辺「彼らに対して可能な限り質の高いレベルでスポーツに携われる機会を大学スポーツ界が作ることができたら、日本全体のスポーツの強さだけではなく、スポーツ文化を醸成していくことにも繋がるはずです。それが僕らの大学スポーツの一つの意義だと思います」
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