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Jリーグ・国内

J史上初の屈辱からスタート…ザーゴ新体制の鹿島に待つのは「希望」か「不安」か

小室功

2020.01.29

ACLプレーオフでメルボルン・ビクトリーに敗戦。攻め立てていたが、1点が奪えなかった。写真:田中研治

ACLプレーオフでメルボルン・ビクトリーに敗戦。攻め立てていたが、1点が奪えなかった。写真:田中研治

 いきなり躓いてしまった。

 ここ3シーズン、国内タイトルを獲れずにいた鹿島は、新監督にアントニオ・カルロス・ザーゴを迎え、生まれ変わろうとしている。その初陣が1月28日のACLプレーオフだった。

 相手はメルボルン・ビクトリー(オーストラリア)。ACLに絡んだ公式戦では初めて戦うチームだ。鹿島のスタメンには6名の新加入選手が並び、チーム作りが新たなサイクルに入っていることを強く印象づけていた。

 なかでも最終ラインの顔ぶれの変化は顕著で、右の広瀬陸斗、左の永戸勝也、CBの奈良竜樹は新加入組。先の宮崎キャンプでのプレシーズンマッチでは、ここにプロ2年目のCB関川郁万が入り、4バックを構成していたが、メルボルン・V戦では主力である犬飼智也が先発した。

 勝たなければ次につながらない。兎にも角にも「結果ファースト」。しかしながら望みは叶えられなかった。

 スコアは0-1と、まさに痛恨の極みである。

 降り続いていた雨の影響があったかもしれない。自陣でのちょっとしたミスも重なり、54分、かつて浦和に在籍していたナバウトにこの日唯一のゴールを許してしまった。味方選手が伸ばした足にシュートが当たり、ボールの軌道が変わるという不運な1点だった。

 鹿島はまず同点に追いつこうとギアを上げて、メルボルン・Vを攻め立てたが、1点さえも奪えなかった。選手たちの地団駄が聞こえてくるようだった。
 
 公式記録によると、鹿島のシュート数17本に対し、メルボルン・Vのそれは6本。「どちらが優勢だったか、数字がすべてを物語っている」というザーゴ監督の言葉は負け惜しみではない。

 試合の主導権を握っていたのは明らかに鹿島だった。ザーゴ監督が思い描くサッカーの基盤である「ボールを握ること」はできていたし、「ボールを奪われたあとの守備への切り替え」も素早かった。ペナルティエリアの両角に攻撃の起点を作り、そこからの崩しの工夫も見られた。

 決定機は少なく見積もっても5回。レオ・シルバが、和泉竜司が、ファン・アラーノが、エヴェラウドが、土居聖真が果敢にシュートをねらい、メルボルン・Vの守備陣を慌てさせた。相手GKの好セーブやDFの体を張ったブロックに阻まれたとはいえ、「なぜ、これが決まらない?」と思わずのけぞってしまうようなシーンもあった。
 

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