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海外サッカー

CL制覇、財政基盤の構築、地元のイメージ向上…パリSG買収後のカタール資本の功績を海外メディアが検証! 今後は「役目は全て果たした」として撤退も!?

THE DIGEST編集部

2025.06.03

アル・ケライフィ会長(右)は残留に前向きだが、今後はカタール資本の撤退が進むかもしれない。(C)Getty Images

アル・ケライフィ会長(右)は残留に前向きだが、今後はカタール資本の撤退が進むかもしれない。(C)Getty Images

 チャンピオンズリーグ(CL)決勝でインテルを5-0という歴代最多得点差で下して初の欧州制覇を果たしたパリ・サンジェルマン。1970年のクラブ創設以来となる悲願成就だった。

【動画】CL決勝ハイライト&ド派手なパリSGの優勝セレモニー!
 この偉業を成し遂げた原動力として、2011年にクラブを約7000万ユーロ(約114億円)で買収した中東カタールの政府系ファンド「カタール・スポーツ・インベストメント(QSI)」の存在を忘れるわけにはいかない。買収後、ナセル・アル・ケライフィ会長による舵取りの下、選手補強に総額23億ユーロ(3750億円)を費やしてきた彼らの努力は、ついに報われた。

 スポーツ専門チャンネル『ESPN』は、「巨額投資が始まった時、サッカー界では『これは2022年に自国で開催するワールドカップに向けて、国のイメージを良くするためのPR活動』だという見方が強かった。しかしW杯が終わった後、次にパリSGが目指したのは『プロジェクトが成功し、欧州最高のタイトルを獲れるか』を証明することであり、それも今回のCL優勝で達成された」と綴っている。

 同メディアは、この勝利が各方面に恩恵をもたらしたと主張。まず、「パリは長らく、サッカーの伝統的な都市とは言えなかった。フランスのクラブサッカー全体が国際舞台で苦戦してきた中で、パリは特に影が薄かった。QSIによる買収前の2011年以前、パリのクラブが国内リーグを制したのはわずか3回だけ(パリSGは2回)だったが、現在ではパリSGだけで13回ものリーグ優勝を誇っている」と、「花の都」のイメージ向上に大きく寄与したと指摘する。

 また、「パリは才能溢れる若手の宝庫」というイメージについても、「これも実は比較的新しい認識である。フランス代表で最多出場の選手12人のうち、パリ出身はティエリ・アンリ1人だけであり、得点ランキングのトップ10では、アンリとキリアン・エムバペの2人のみが首都圏出身だ」と綴った上で、以下のように続けた。
 
「しかし、才能ある若手の多くは元々パリ近郊に存在していた。パリSGは当初、地元の若手よりも、ズラタン・イブラヒモビッチやネイマール、リオネル・メッシといった高額を投じての『スター選手路線』に偏重していたが、やがて若手育成に舵を切ったことにより、戦略が変わった」

 スター路線はクラブに9億ドル(約1300億円)を超える収入をもたらす一方で、過去5シーズンでの損失は約10億ドル(約1430億円)とライバルを大きく引き離していたが、「高額サラリーの選手の放出と、移籍市場での戦略的な立ち回り、そして移籍金がかかっても年俸が安いため、経済的には有利になる若手選手重視」へと舵を切ったことで、昨季の赤字は6300万ドル(約90億円)まで減少し、今季は黒字の可能性すらあるという。

 コストを抑えてCLを制し、サラリーの重荷からも解放されたクラブの成功を「まるで新人契約中の若手でスーパーボウルを制したかのようだ」と表現した同メディアは、改めて「パリSGはグローバルブランドを築き、欧州制覇を達成し、財政的な健全化に向けて進み、パリを真のサッカー都市に変えた」と称えた。

 また、フランス最大の富豪であるベルナール・アルノー氏とレッドブル・グループがパリFCに出資し、来季はホームスタジアムがわずか数百メートルしか離れていない2つのクラブがトップリーグに並ぶことになったのも、QSIがもたらした効果のひとつであるとした。

 そして今後について、「ここまでの実績を考えれば、QSIが『役目は全て果たした』として撤退を検討するのは自然なことだ。パリSGはもはや、QSIがいなくても存続・発展可能な巨大クラブとなった。(中略)アル・ケライフィ会長自身は“残留”に前向きだが、ドーハの本部がどう考えるかは別問題だ。彼らが次に目を向けるのは、もしかすると別のプロジェクトかもしれない。今後の動向には要注目だ」と、大きな動きがある可能性を示唆している。

構成●THE DIGEST編集部

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