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海外サッカー

新型コロナ禍で欧州サッカーの移籍マーケットはどう変わる?予測困難な夏を読み解く「事象」と「傾向」

片野道郎

2020.05.04

増えそうなのが、リバプールが南野を獲得したような選択。将来性はあるが安価な無名選手で妥協する、あるいは賭けをするケースだ。(C)Getty Images

増えそうなのが、リバプールが南野を獲得したような選択。将来性はあるが安価な無名選手で妥協する、あるいは賭けをするケースだ。(C)Getty Images

4:コストパフォーマンスのいい無名選手の発掘・獲得促進

 移籍収支を改善したいクラブにとっては、補強コストをいかに抑えるかが重要なテーマになってくる。レギュラークラスの補強が必要なポジションに、戦力としてある程度計算が立つ、例えば実績十分ながら3000万ユーロ(約37億5000万円)の値札がついている選手を獲得するか、それともポテンシャルの高さが評価されているがまだ実績が少ない中堅国(ベルギー、オランダ、ポーランド、チェコ、クロアチアなど)の無名選手を800万ユーロ(約10億円)で獲得するか、という時に、以前ならば手堅く前者を選んでいたようなクラブが、後者で「妥協する」(あるいは「賭けをする」)ケースが増えるだろう。例えるならば、ロベルト・フィルミーノのポジションに同タイプのFWをもう1人探していた今冬のリバプールが、ドリース・メルテンスではなく南野拓実を獲得したような種類のオペレーションだ。こうした補強を成功させるために最も重要なのは、チームの戦力的・戦術的要請にマッチした無名選手を掘り起こしてくるスカウティング能力の高さ。これはメガクラブよりもむしろ、セビージャ、アタランタ、RBライプツィヒ/レッドブル・ザルツブルクといった中堅クラブが得意とするところだが、同じような動きはメガクラブにも広がるはずだ。
 
5:中小クラブが主力を バーゲン価格で放出?

 5大リーグでも中位以下のクラブの多くは、元々収支がカツカツの状況で綱渡り的な自転車操業を強いられている。こうしたクラブにとって今回のコロナ禍による収入減は、破産・消滅にもつながりかねない危機をもたらす可能性がある。そうなった時、生き残るために残された手段は、最も高い値段で売れる主力選手を売却して、目先のキャッシュを確保することだ。

 例えば2000年代初頭のセリエAでは、放映権料バブルが弾けて経営危機に陥ったフィオレンティーナがマヌエル・ルイ・コスタ、フランチェスコ・トルド、ラツィオがアレッサンドロ・ネスタ、パベル・ネドベド、パルマがジャンルイジ・ブッフォン、リリアン・テュラムと、欧州カップ戦行きを狙うレベルだったクラブが主力中の主力を売却して目先をしのぐという状況に追い込まれた。今夏はここまで極端ではないにせよ、財政難の中小クラブが思わぬ主力クラスをバーゲン価格で売りに出すようなケースが出てくる可能性もある。
 

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