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海外サッカー

新型コロナ禍で欧州サッカーの移籍マーケットはどう変わる?予測困難な夏を読み解く「事象」と「傾向」

片野道郎

2020.05.04

今後の日程がどうなるかは、まったく見えない状況だ。UEFAのチェフェリン会長(写真)も判断が二転、三転し……。(C)Getty Images

今後の日程がどうなるかは、まったく見えない状況だ。UEFAのチェフェリン会長(写真)も判断が二転、三転し……。(C)Getty Images

■戦争・天災レベルの「不可抗力」。FIFAが発表したガイドラインとは?

 断っておかなければならないのは、これらはすべて、今シーズンが何らかの形で6~7月までに終了し、数週間のシーズンオフを挟んで20-21シーズンが遅くとも9月にはスタートする、つまりシーズン終了直後から開幕後の一定期間(例えば7月から9月)に移籍ウインドーがオープンするという、通常に近い形で移籍マーケットが行なわれるのを前提としての話だということ。

 今シーズン、そして来シーズンがどのような日程で開催される(されない)ことになるかは、現時点においてはまだまったく見えていない。各国リーグと調整しながら欧州カップ戦(CLとヨーロッパリーグ)の日程を決めるべき立場にあるUEFAのアレクサンデル・チェフェリン会長からして、19-20シーズン終了の期限について、一度は8月3日までと言いながらその翌日には発言を撤回するなど、判断が二転、三転している状況だ。
 
 現時点で確かなのは、本来のフットボールカレンダーにおいては「年度替わり」の区切りとなる6月30日までに、19-20シーズンの全日程を終えるのは事実上不可能であり、したがって最終的な判断は、シーズンを再開せずに終了するか、あるいは延長して全日程を消化してから終了するかのどちらかしかないということ。FIFA、UEFA、各国連盟/協会はいずれも、再開なしの打ち切りは最後の選択肢であり、20-21シーズンの開始を大幅に遅らせるとしても、まずは19-20シーズンの日程消化を優先する(そうしないとTV放映権料などの収入がなくなるため)という方向性で一致している。

 6月30日までにシーズンの日程が終了しない場合、この日を区切りとして結ばれているクラブと選手との契約はどうなるのかという問題が生じてくる。これについてFIFAは4月7日、コロナウイルスによってプロサッカークラブの活動が全世界的に中断されている現状は、戦争や天災と同じ最大レベルの「不可抗力」であると認めた上で、この事態への対応について以下のようなガイドラインを発表した。

①6月30日で満了する契約(レンタルも含む)については、19-20シーズンが終了するまでの間、効力を持ち続けるものとする。
②すでにサインされている7月1日からの契約については、20-21シーズンが開始した時点から効力が発生するものとする。
③移籍ウインドーについては、19-20シーズン終了後から20-21シーズン開幕までの期間に合うよう日程を再調整すると同時に、最大12週間までとして、公正な競争環境を確保できるよう配慮する。

 このガイドラインに従うならば、移籍マーケットはその日程こそ2つのシーズンのカレンダーに従う形で変更になるものの、実質的には旧シーズン閉幕から新シーズン開幕まで、最長でも12週間という通常通りの形で行なわれるはずだ。したがって、一部報道であったような、新シーズン開幕後2か月間は移籍ウインドーをオープンにするといった、特殊な解決策が採られることはないだろう。

文●片野道郎

※『ワールドサッカーダイジェスト』2020年5月7日号より転載
 

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