だが、メッシに転機が訪れる。解雇されたバティスタの後を継いだアレハンドロ・サベージャ監督が、メッシを代表のキャプテンに任命したのだ。
国内のラジオ番組で実施されたアンケートではリスナーの大半がこの決断に賛同せず。『La Nacion』の代表番を務めたクリスティアン・グロッソ記者も「メッシはグループのリーダーになるようなタイプではない」と断言。国内でのメッシを見る目がますます厳しくなっていたときに、サベージャはあえてメッシに大役を託したのである。
当初、当人はキャプテンとしての責任について、「チームの一員としての責任は今までと同じ」と答えていた。
「代表における責任はベストを尽くすこと。キャプテン章をつけたからといって、自分の中で何かが変わったわけではない。もちろんキャプテンに選ばれて嬉しく思っている。(キャプテン章が)幸運をもたらしてくれることを祈っているよ」
「自分の中で何かが変わったわけではない」という言葉が本音でなかったのは、サベージャの指揮下で最初の公式戦となった2014年のブラジルW杯南米予選第1節(チリ戦)で明らかになった。この試合で、実に2年半ぶりとなる代表戦でのゴールを決めたメッシは、試合後に「キャプテンマークが僕に元気を与えてくれた」と正直な思いを語ったのだ。
私は以前、メッシの幼馴染であり、親友のアグスティン・ルアニからこんな話を聞いた。
「レオ(メッシ)は子どもの頃プレーしていたニューウェルスでもずっとキャプテンだったんだよ。あのチームには、レオに任せておけば勝てるという安心感があった。みんながレオの指示に従い、レオも周りのみんなに合わせて動くチームだった。あいつがキャプテンになったことで、やっと代表がレオのチームになったと思ったものさ」
サベージャは代表監督に就任した際、メッシをキャプテンに任命した理由について「彼をよく知る人たちから話を聞いて最善の結論が得られた。成熟を促してくれると思うからだ」と話していた。
今思えば、誰もが「メッシはキャプテンに相応しくない」と確信していたなかでの勇気ある決断だった。
―――後編へ続く―――
取材・文●チヅル・デ・ガルシア
Text by Chizuru de GARCIA
国内のラジオ番組で実施されたアンケートではリスナーの大半がこの決断に賛同せず。『La Nacion』の代表番を務めたクリスティアン・グロッソ記者も「メッシはグループのリーダーになるようなタイプではない」と断言。国内でのメッシを見る目がますます厳しくなっていたときに、サベージャはあえてメッシに大役を託したのである。
当初、当人はキャプテンとしての責任について、「チームの一員としての責任は今までと同じ」と答えていた。
「代表における責任はベストを尽くすこと。キャプテン章をつけたからといって、自分の中で何かが変わったわけではない。もちろんキャプテンに選ばれて嬉しく思っている。(キャプテン章が)幸運をもたらしてくれることを祈っているよ」
「自分の中で何かが変わったわけではない」という言葉が本音でなかったのは、サベージャの指揮下で最初の公式戦となった2014年のブラジルW杯南米予選第1節(チリ戦)で明らかになった。この試合で、実に2年半ぶりとなる代表戦でのゴールを決めたメッシは、試合後に「キャプテンマークが僕に元気を与えてくれた」と正直な思いを語ったのだ。
私は以前、メッシの幼馴染であり、親友のアグスティン・ルアニからこんな話を聞いた。
「レオ(メッシ)は子どもの頃プレーしていたニューウェルスでもずっとキャプテンだったんだよ。あのチームには、レオに任せておけば勝てるという安心感があった。みんながレオの指示に従い、レオも周りのみんなに合わせて動くチームだった。あいつがキャプテンになったことで、やっと代表がレオのチームになったと思ったものさ」
サベージャは代表監督に就任した際、メッシをキャプテンに任命した理由について「彼をよく知る人たちから話を聞いて最善の結論が得られた。成熟を促してくれると思うからだ」と話していた。
今思えば、誰もが「メッシはキャプテンに相応しくない」と確信していたなかでの勇気ある決断だった。
―――後編へ続く―――
取材・文●チヅル・デ・ガルシア
Text by Chizuru de GARCIA