――元スペイン代表という最高のお手本がいたからか、18年夏に岐阜から神戸に移籍して以降の古橋選手の成長は驚くほどです。

「嬉しいですね、そう言ってもらえて。ただ神戸に入った当初は、ついていくのが必死でした。Ｊ２とＪ１でこんなにスピード感が違うのかって。全然周りが見えていませんでしたから。でも出番をもらえるようになってちょっとずつ試合勘も出てきて、それから段々と自信もついて、余裕を持って色々考えながらプレーできるようにはなりました。まだまだ足りないところは多いですけど、ポジショニングだったり、守備の仕方だったり、攻撃のスイッチの入れ方だったりは、以前に比べたら少しは良くなったのかな」

――昨年はＡ代表に選ばれ、そして今回レギュラーとして天皇杯で優勝も経験しました。

「それは僕の力だけではありません。まず岐阜に拾ってもらって、１年目から試合に出ていろんな経験ができたし、神戸に呼んでもらってからは、凄いチームメイトとプレーができました。ひとりでここまできたわけではないし、本当に僕は恵まれていますよ。そうやってこれまで助けてくれた人たちには、感謝してもし切れません」
  ――支えてくれた人たちへの恩返しのためにも、さらなる進化に期待です。来季への意気込みを訊かせてください。

「この１年、シーズンが長かったので、まずはゆっくり休んで心の整理がしたいです。そして来季、クラブがまた新たな一歩を進めるように、全力でプレーします」

PROFILE
ふるはし・きょうご／ 1995年１月20日生まれ、奈良県出身。170センチ・63キロ。桜ヶ丘ＦＣ―アスペガス生駒ＦＣ―興国高―中央大（プロ以降はキャリアレコード参照）。Ｊ１通算44試合・15得点。Ｊ２通算68試合・17得点。日本代表通算１試合・０得点。18年の夏に神戸に加入してから、長足の進歩を見せるアタッカー。19年シーズンは、持ち前の快足を武器に10ゴールをマークすれば、11月のベネズエラ戦で日本代表デビューを飾るなど、今やクラブを象徴するひとりに。今回の天皇杯では、５戦２発の働きぶりで優勝に貢献した。

取材・文●多田哲平（サッカーダイジェスト編集部）

※『サッカーダイジェスト』2020年1月23日号より転載