38歳となった現在も男子テニス界の第一線で戦い続けるノバク・ジョコビッチ（セルビア／現世界ランキング５位）。先日行なわれた「ロレックス上海マスターズ」（中国・上海）準決勝では、予選勝者の伏兵バレンティン・バチェロット（モナコ／大会時204位）の快進撃に飲み込まれ、決勝進出を逃した。試合後は対戦相手の26歳を称えることに終始し、自身の体調や今後のプランなどの質問は受け付けなかった。

　今回の敗戦は、ジョコビッチのキャリアにどのような影響を及ぼすのだろうか。かつて覇を争ったロジャー・フェデラー（スイス）は2022年に41歳で引退し、ラファエル・ナダルも昨年38歳でラケットを置いた。ビッグ３のライバルが去った一方、現役を続けるジョコビッチは、22歳のカルロス・アルカラス（スペイン／現１位）と24歳のヤニック・シナー（イタリア／同２位）という２強に立ち向かっている。

　こうした中で、彼がナダルやフェデラーとの間柄について率直に語った、2023年のイタリア紙『コリエーレ・デラ・セラ』のインタビューが海外各メディアで紹介され、再び注目を集めている。ジョコビッチは、長年のライバルたちとの独特な関係性を次のように表現していた。

「僕たちは友達になったことはない。ライバルの間では、それは不可能なんだ。でも、敵同士でもない。僕はフェデラーをずっと尊敬してきた。彼は史上最高の選手の１人であり、その影響力は計り知れない。それでも、彼と親しい関係になったことはないんだ」
  　ナダルについても言及した。

「ナダルは僕より１歳上で、２人とも双子座だ。最初の頃は一緒にディナーにも行った。２回ほどね。でも、彼と友情を築くのは不可能だったよ」

「ナダルとフェデラーのおかげで......僕は成長し、今の自分になれた。これこそが僕たちを永遠に結びつけるものなんだ。だから２人には感謝している。ナダルは僕の人生の一部。この15年間、母よりも彼の顔を見てきたんだから」

　ビッグ３の激しい競争力は、男子テニス界をかつてない高みへ押し上げ、トップ争いの景色をも変えた。その過程で友情は成立しなかった。少なくともジョコビッチにとっては。

　そうして輝かしい時代を築き、変化する男子テニス界でなおも挑戦を続ける38歳。上海での敗戦もまた、次を見据えるための通過点にすぎないのだろう。

構成●スマッシュ編集部

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