現在開催中の男子テニスツアー公式戦「ロレックス上海マスターズ」（10月１日～12日／中国・上海／ハードコート／ATP1000）は現地７日にシングルス４回戦が行なわれ、第４シードで元世界ランキング１位のノバク・ジョコビッチ（セルビア／現５位）が登場。ノーシードのジャウメ・ムナール（スペイン／現41位）を6-3、5-7、6-2で下し、同大会11度目のベスト８進出を決めた。

　湿度80％超えの過酷なコンディション下で繰り広げられた２時間41分の死闘。試合中に何度もコート脇で嘔吐し、第２セットを落とした直後には仰向けに倒れ込んでメディカルタイムアウトを要求するなど身体は限界を迎えかけていたが、最後は長年男子テニス界を牽引してきた38歳の執念が勝った。

　接戦の末に１セットオールに持ち込まれるも、ファイナルセット第１ゲームでムナールが簡単なスマッシュをミスしたのを機にジョコビッチが再び流れをつかみ、40-15とゲームポイントを握られたところから値千金のブレークに成功。その後もジョコビッチは短くポイントを終わらせようと積極的に攻め、第６ゲームから３ゲームを連取して熱戦に終止符を打った。
  　ATP（男子プロテニス協会）公式サイトによると、ジョコビッチはファイナルセットにおけるフォアハンドの「ショットクオリティ」（サービス、リターン、フォアハンド、バックハンドの質を０～10のスケールで評価した指標）で驚異の9.6を記録。終盤は平均時速135キロのキレ味鋭いフォアを軸に、完全に主導権を握った。

　試合後にジョコビッチは自身の公式SNSを更新。インスタグラム（@djokernole）とX （＠DjokerNole）にて中国語で「我愛上海（上海が大好き）」と綴り、「厳しい１日だったし、肉体的にも非常にタフだったが、幸運なことに、僕は世界最高のサポートを受けている」と現地ファンへの感謝の言葉を記している。

　四大大会に次ぐマスターズ1000で史上最多を更新する通算41度目の優勝にまた一歩近づいたジョコビッチは、現地９日に予定されている準々決勝で26歳のトップ50選手、ジゾー・ベルグス（ベルギー／現44位）とのツアー初対決を迎える。現地５日のヤニック・ハンフマン（ドイツ／同150位）との３回戦でも嘔吐していたジョコビッチの体調が少々気掛かりだが、次戦も38歳の奮闘を期待したい。

文●中村光佑

【動画】治療を受けながらもジョコビッチがムナールを振り切った上海マスターズ４回戦ハイライト

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