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マラソン・駅伝

“厚底シューズ”で相次ぐ好記録!「靴に走らされてる」現場指導者が高速化の裏に隠された苦悩を吐露

永野祐吏(THE DIGEST編集部)

2020.12.10

中央学院大学を率いる川崎勇二監督。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

中央学院大学を率いる川崎勇二監督。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

 正月恒例の箱根駅伝出場をかけた予選会が10月17日に行なわれ、46校の学生たちがハーフマラソンを走り、各校上位10人の合計タイムで競った。

 18年連続で箱根駅伝に出場し、前回大会11位で予選会に回った中央学院大は、上位での通過が期待されていた。しかし本戦の出場権を獲得できる10位まで、わずか37秒差の12位で予選落ち。その後、全日本大学駅伝に出場するも、上位校に全く歯が立たないという苦しい戦いをみせた。学生三大駅伝(出雲、全日本、箱根)の常連校である中央学院大に一体何が起こったのか、チームを率いる川崎勇二監督を直撃した。

 今回の予選会は、新型コロナウイルス感染対策により例年のコースとは変更して実施されたため、一概に過去の記録と比較は出来ないが、中央学院大が記録した10時間34分36秒は、前回だと1位通過、前々回であれば2位通過のタイムだ。川崎監督は「他の大学が想定以上のペースを作ってきた」と明かす。特筆すべきは、上位60選手が「箱根駅伝で言う、往路の上位校が走るような驚異的なタイム」の62分台で走ったことだ。

 全日本大学駅伝は8区間中4区間で区間新記録が樹立されるなど、今シーズンは一段と高速化が進んでおり、「ほぼ靴(厚底シューズ)の影響と言っても過言ではない」と川崎監督は言い切る。厚底シューズにより「今までの選手の固定観念を打ち破った」ことが、好記録が連発する背景ではないかと言うのだ。
 
 近年、長距離界を席巻する“厚底シューズ”。従来、上級者は薄いソール(靴底)の軽量靴で走るのが常識とされてきたが、厚いソールで走る選手が、驚異的な記録を次々と打ち立て、世界各地で旋風を巻き起こしている。常識を覆した厚底シューズには、カーボンプレートが搭載されており、着地の際、曲がったカーボンの反発を推進力に変えて進むという仕組みである。

「足を地面に叩いとけば前に進みますので、その靴をうまく使える子たちは、本当に最後までもってますよね」と、川崎監督は今シーズンの走りを評価する。これまで、体力が十分についていない下級生にとっては、20キロ以上の距離を対応するのは難しいとされていたが、この革命的な靴をうまく履きこなすことによって、それを可能にしたと言う。
 

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